その地名に「えっ!?」と耳を疑った視聴者もいたようだ。
5月9日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第32回では、遠洋漁業から1年ぶりに戻ってきた祖父の忠兵衛(蟹江敬三)が、ヒロインで孫のアキ(能年玲奈)に土産話を語る場面があった。その内容に疑問を抱く人も少なくなかったという。
天野家では娘の春子(小泉今日子)がアキを連れて東京から出戻り。忠兵衛も帰ってきたことで、初めて一家4人がそろっての朝食を摂ることに。アキの親友でお泊りしていたユイ(橋本愛)や、夏(宮本信子)の仕事仲間も勢ぞろいし、にぎやかな朝食となっていた。
おしゃれな服を着ていると指摘された夏は「お父さんのお土産」と嬉しそう。忠兵衛は「スペインのマドリードさ1週間寄ったんだ」と明かし、これまでにインドやタイ、フランス、ノルウェー、カナダ、アメリカなどに行ったことがあると明かしていた。
「遠洋漁業の漁船は燃料や食料を補給するため、定期的に入港するもの。マグロ漁船は大西洋でも漁をするため、スペインの港に寄ることも珍しくありません。ただ忠兵衛の説明に疑問を抱く視聴者がいたこともまた事実。なぜならマドリードはスペインのほぼ中心にある内陸の都市であり、近くの港までは300キロ以上も離れているからです」(週刊誌記者)
これが港町のバルセロナであれば何の問題もなかったが、さすがに内陸のマドリードとなると、不自然に過ぎるというものだ。
忠兵衛は「バカンス」と語っていたので、スペインの港に船を停めてから、電車などでマドリードに行ったと考える向きもあるだろう。ただ観光旅行とは異なり遠洋漁業の航海中には、自分の船にすぐ戻れない遠くの街に行くことはあり得ないもの。停泊中も寝るのは船の中であり、ホテルに泊まること自体がないという。
「朝ドラで話題になりがちな“考証”とはほぼ無縁の『あまちゃん』ですが、この場面に限って言えば考証不足だったのかもしれません。よもや制作陣が世界地図を見間違えたのか、それともマドリードとバルセロナを取り違えていたのか、ともかく内陸の都市名を忠兵衛に語らせたのはミスだったと言えそうです」(前出・週刊誌記者)
実際のカツオマグロ漁ではスペイン本土ではなく、カナリア諸島の港町・ラスパルマスに寄港する例がほとんど。ただ一般にはほぼ知られていない地名のため、作中では視聴者にも分かりやすいマドリードしたのだろうか。その配慮が裏目に出てしまったのかもしれない。