その訛り方に、ヒントが隠されていたようだ。
5月12日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第35回では、ミス北鉄のユイ(橋本愛)と新人海女のアキ(能年玲奈)が岩手ローカルのテレビ番組に出演するかどうかを巡って紛糾する様子が描かれた。そこでユイが発した言葉に食いつく視聴者も少なくなかったという。
アキの母親・春子(小泉今日子)は二人のテレビ出演に反対。娘のアキよりもむしろ、高校を卒業したら上京するユイのことを心配していた。それに対してユイは「こう見えてオラ、自分のこと分がってっから」と北三陸弁で返してみせていた。
田舎育ちながら東京でアイドルになることを夢見ており、普段から標準語で話しているユイ。母親(八木亜希子)が仙台のテレビ局で女子アナだったこともあり、家庭内でも標準語で会話しているようだ。
それでもあえて北三陸弁を使っていたのは、ユイ自身が田舎を利用したいと考えているから。高2とは思えないそのしたたかさを目の当たりにして、春子も二人のテレビ出演を了承していた。一方で視聴者は、ユイとアキの関係に気を揉んでいたというのである。
「ユイは『自分』という単語を『ずぶん』と発音。これは高校の先輩である種市(福士蒼汰)の訛り方と同じです。潜水土木科3年の種市はイケメンで、アキは種市にぞっこん。しかし当の種市はどうやらユイに興味がある様子で、今回の『ずぶん』訛りはユイと種市の接近を予感させるフラグとなっていました」(テレビ誌ライター)
種市に一目ぼれしたこともあり、アキは普通科から潜水土木科に編入。潜水実習では二人ペアになることもあり、潜水士試験の勉強を種市に見てもらうなど充実した高校生活を送っている。
しかし前日の第34回では、種市がユイに怪しげな目線を送る場面があった。北三陸駅でアキと一緒に勉強している時に種市は、隣のベンチで本を読んでいるユイのほうを何度も振り返っていたのである。その視線に視聴者からは<これは恋の予感!>といった声もあがっていた。
「高3の種市は卒業後、潜水士として羽田空港の拡張工事に従事することが決まっています。そしてユイも高校を卒業したら上京すると決めており、二人とも東京志向の持ち主という点で一致しているのです」(前出・テレビ誌ライター)
なおネタバレになるので詳細は割愛するが、本放送を観ていた視聴者なら、種市が高校を卒業した後も作品に出演し続けることを知っているだろう。その前提で種市やユイの行動や発言を見ると、あらゆる場面が前フリに見えて仕方がないはずだ。
一方で今回の再放送が初見という視聴者も、さまざまに散りばめられた“伏線”が気になって仕方がないはず。その伏線がどうやって回収されていくのか。その期待を確実に上回ってくれるところが、朝ドラの歴史に残る「あまちゃん」の醍醐味であることは間違いないだろう。