実はそう書くのか! 驚いた視聴者も多かったようだ。
5月30日放送のNHK連続テレビ小説「らんまん」第42回では、主人公・槙野万太郎(神木隆之介)が実家の造り酒屋・峰屋に送った手紙が大きく映し出される場面が。達筆なうえ、文末が「驚き入り候」などといわゆる「候(そうろう)文」となっており、小学校中退とは思えない万太郎の文才を表していた。
ところが視聴者の注目は、手紙の最後に添えられた署名へと集まることに。そこに書かれた名前が「万太郎」ではなかったというのである。
「最後の署名は『槙野萬太郎』となっており、“万”の字が旧字体になっていました。明治時代が舞台のドラマなので考えてみれば当たり前の事であり、作中では東京大学も『東京大學』と表記されています。とはいえ主人公の名前が、テロップで表記されている漢字とは違っていることに、驚きを隠せない視聴者も少なくなかったようです」(テレビ誌ライター)
実際のところ、作中に「萬太郎」表記が現れたのは決して今回が初めてではない。5月19日放送の第35回では、万太郎が東大の植物学教室に白梅堂で買ってきた和菓子を差し入れており、そこには「皆様にてお召上がりくだされたく候 槙野萬太郎」という添え書きがあった。
その時も一部からは<萬太郎が正式なのか!>という声があがっていたが、多くの視聴者は万太郎が白梅堂の和菓子を差し入れたというエピソードに注目しており、名前の表記に気づかなかった人も多かったのである。
「それが今回は万太郎の書いた手紙がクローズアップされ、しかも文末の名前のところから映し出されていたので、多くの視聴者が『萬太郎』表記に気がついていたようです。名前は固有名詞なのですから、そのまま萬太郎で構わないはずですが、NHK側はあくまで『万太郎』ということにしておきたいようですね」(前出・テレビ誌ライター)」
手紙などの小道具にもしっかりと気を遣うのが朝ドラクォリティというもの。最近の朝ドラでは考証不足が指摘されることが多発しているが、「らんまん」では今のところ大きな破綻はない様子。このまま視聴者を感心させる明治時代を描き続けてほしいものだ。