彼女なりに見えてきた景色だったのかもしれない。
6月9日放送のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第59回では、高3のユイがアイドルグループ「アメ横女学園芸能コース」の3期生オーディションを受けたいと切望。高校卒業まで待ってほしい家族と衝突する姿が描かれた。その場面に田舎で背伸びしているアイドル志望者の現実が表れていたという。
ユイの母親・よしえ(八木亜希子)は元女子アナ。仙台のテレビ局に勤めていたが、高校教師だった功(平泉成)と結婚し、岩手の田舎町で専業主婦生活を送っていた。
東京でアイドルになりたいユイは、母親に向けて「お母さんみたいになりたくない」と言い放つ。さらには「こんな田舎でこんな山奥でだっさいポロシャツ着て残念なエプロンしてシチュー作って…そんなふうになりたくないって言ってんの!」と、母親の人生をなじっていたのである。
「ユイにとって母親のよしえは、東北地方の最大都市である仙台で女子アナだったという輝かしい経歴の持ち主。『元女子アナの娘』という肩書きはユイ自身にとっても自慢の一つだったはずです。しかし東京から自分をスカウトしに来た水口に出会い、アイドルになる夢が実現に近づくなか、2年目で女子アナを辞めた母親がむしろ歯がゆく感じられるようになったのでしょう」(芸能ライター)
しかもユイにはほかにも、母親の経歴を残念がるようになった具体的な理由があるという。それは今回の放送にも表れていたというのだ。
ユイは現在、岩手こっちゃこいテレビの情報番組「5時だべ! わんこチャンネル」に出演中。今回はそのロケで北鉄に乗り、北三陸の景色が大好きだとうそぶいていた。同番組では地元・岩手出身の福田萌がキャスター役で出演しており、視聴者を沸かせている。
「岩手県の地方局とは言えど、県都・盛岡にあるテレビ局は北三陸の片田舎から見れば“ザ・マスコミ”と言える存在。そこで番組に出演しているユイはテレビ局の持つ魅力を存分に感じ取っていることでしょう。しかも福田の活躍を間近で見ているのですから、なぜ自分の母親はそんな輝かしい経歴を捨ててしまったのかと、不満を感じるのも無理はありません」(前出・芸能ライター)
果たしてユイはテレビに出演するアイドルになれるのか。そのためには元女子アナの母親を否定するのではなく、尊敬するべきなのかもしれない。