現在公開中の映画「怪物」に出演している女優の安藤サクラ。演技派女優として知られる安藤が今作でも注目されている。
この映画の舞台は、大きな湖のある郊外の町。登場するのは、息子を愛するシングルマザー・麦野早織(安藤サクラ)、生徒思いの小学校教師・保利道敏(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち。今作は、この三つの視点から描いた感動のヒューマンドラマだ。安藤は、2018年に公開され、カンヌ国際映画祭で最優秀賞に当たるパルム・ドールに輝いた映画「万引き家族」に続き、是枝裕和監督作品に二度目の出演となる。
「今回の映画で安藤は、子供思いの優しい母親の奥底から抑えようもない感情が出てきてしまう、その恐ろしさを見事に演じています。安藤のことを“底知れない女優さん”と呼ぶ是枝監督は、『自分はまだこの人のいちばん深いところにタッチできていないと思ったので、もう一度お仕事をできるチャンスを狙っていました』と今作へ起用した理由について語っています」(芸能ライター)
安藤自身は、人気脚本家・坂元裕二氏の書いた脚本を読んで「あまりにも隙のないものだったので、そこを乗り越えられる自信が持てなかった」「早織役を自分が演じるのは難しい」と悩んでいたものの、「万引き家族」で「(是枝組で)演じた時の楽しさを改めて思い出し、坂元さんの脚本に挑む勇気を持つことができました」とコメントしている。
そんな安藤は、日本アカデミー賞だけでも15年「百円の恋」、18年「万引き家族」で最優秀主演女優賞。22年に公開された「ある男」では最優秀助演女優賞を獲得するという日本を代表する実力派女優。今作でさらなる飛躍が期待されているが、過去には、演技を見た父・奥田瑛二から怒鳴られたこともあったという。
「6月9日に放送された『あさイチ』(NHK)に安藤が出演した際、VTRで出演した奥田が小学校の頃のエピソードを暴露。学芸会のヒロインに選ばれ、その練習に付き合ってもらった時のこと。安藤の芝居を見た奥田に『バカヤロー』『学芸会みたいな芝居してんじゃねぇ!』と罵倒。『だってこれ、学芸会なんだもん』といって泣き出してしまったことを明かしています」(前出・芸能ライター)
今となっては微笑ましいエピードだが、これも役者の家に生まれた宿命なのかも。
(窪田史朗)