この母娘、似ていないところもまた、似ているのかもしれない。
6月16日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第65回では、海女~ソニックのステージでパフォーマンスを披露したヒロインのアキ(能年玲奈)に母親の春子(小泉今日子)がビンタを炸裂。ぶたれたアキが春子に反抗する姿が描かれた。
そんな一連の場面に、アキと春子の似ているところと、違っているところが表れていたという。
かつて東京でアイドルになることに憧れ、高2で家出していた春子。娘のアキは生まれ育った東京に馴染めず、春子の実家がある北三陸で新人海女になってからは水を得た魚のように生き生きとした生活を取り戻していた。
そんなアキが周りの大人たちの思惑もあって、即席ユニット「潮騒のメモリーズ」として北三陸鉄道のお座敷列車でパフォーマンスを披露。そこからアキもアイドルの魅力に取りつかれていったのである。
「アイドル活動はお座敷列車で最後という約束を破ったとして激怒した春子。筋が通っているようにも見えますが、そもそもその約束自体、春子が強要したものでした。アイドル活動をさせたくない理由も、卒業を見据えて将来を考えるべきというあいまいなもの。そういった母親の態度に対して、親友のユイを引きこもりから連れ出すため潮騒のメモリーズを復活させたアキには、自分なりの理屈が通っていました」(芸能ライター)
アイドルになりたかった春子。そして海女兼アイドルになりたいアキ。結局のところ母娘が高校時代に抱いた夢は同じようなものだった。
ただ春子は北三陸を出て東京に出ることを夢見ており、一方のアキは東京には出たくないという。その点では方向性が違っているように見える二人だが、実際のところ根っこは一緒だというのだ。
「田舎を憎み、東京に出たかった春子。一方のアキは東京の生活に馴染めず、今では北三陸での暮らしにすっかり染まっています。結局二人とも、自分に与えられた環境に馴染むことができず、『どこか違う場所で輝きたい』と思っている点は一緒なのです」(前出・芸能ライター)
そう考えると春子が異様なまでにアキのアイドル活動を否定するのは、自分の失敗を見ているように感じているからなのかもしれない。果たしてアキの「オラ、アイドルになりでえ!」という言葉は実現するのか。そこには春子の理解が必要となりそうだ。