月給30万円という数字に目を奪われていると、その陰に隠れている厚遇ぶりにも気づかなくなるようだ。
6月22日に生放送された情報番組「ぽかぽか」(フジテレビ系)に出演した田原俊彦が、ジャニーズ事務所在籍時の収入について告白。その薄給ぶりが話題となっている。
田原は1年365日休みなしで働くも月給が30万円だったと語り、「ジャニーズ事務所にしたら普通のことです」と明かしていた。
その一方で「別の収入が大きかった」とも語り、「レコードの印税っていうのがすごい大きかった」と告白。その金額は何千万円単位にものぼっていたという。
「田原が語った『印税』とは何を指すのか。音楽業界で印税といったら通常は、JASRACからの分配金だと思う人も多いでしょう。しかし田原が言う印税はJASRACから支払われたものではありません」(芸能関係者)
JASRACはあくまで著作権を管理する組織であり、分配金を支払う相手は作詞家や作曲家など楽曲の著作権を持つ者、そして著作権者から著作権の譲渡を受けた音楽出版社となる。
田原のように歌唱している本人には「歌唱印税」が発生するものの、それは著作権とは関係のない権利。そのため田原に対してJASRACが印税(分配金)を支払うことはないのである(※歌唱者自身が作詞や作曲を手掛ける場合を除く)。
「田原が受け取る歌唱印税はレコードやCDの原盤権に含まれており、原盤権の保有者から支払われます。原盤権は楽曲の制作者が持つ権利で、通常は音楽レーベルが持つケースが多いものの、ジャニーズ事務所では制作費をすべて負担することで原盤権も保有。各レコード会社は定価の12~18%ほどを原盤権者に原盤印税として支払っています」(前出・芸能関係者)
つまり田原の歌唱印税は、ジャニーズ事務所が受け取った原盤印税のなかから分配されていることになる。
そして田原が口にした「数千万円の印税」が本当なのであれば、実のところジャニーズ事務所は所属タレントに対してけっこうな大盤振る舞いをしていた計算になるというのだ。
歌唱印税はソロ歌唱なら全額、グループならメンバーの人数で割った金額となる。田原の場合、近藤真彦と野村義男の3人で組んでいた「たのきんトリオ」のイメージが強いものの、意外なことにたのきんトリオ名義で発売されたレコードはない。
そのため田原の歌唱印税はすべて、田原俊彦名義で発売されたレコードの売り上げに応じている。この数字を計算してみると、意外なことが判明するのである。
田原のシングル売り上げ枚数は1981年の約240万枚を筆頭に、1982年の約170万枚、1980年の約134万枚と続いている。当時のシングルレコードは定価600円だったので、それぞれの売り上げは14億4000万円、10億2000万円、8億400万円となる計算だ。
一方で歌唱印税は通常1%と言われており、その計算に従うと田原がもらう印税は1440万円、1020万円、884万円ということになる。しかしこれでは「何千万」と語った田原の言葉がウソになってしまうではないか。
「歌唱印税では歌手と原盤権者の契約次第でおよそ1~3%の幅があり、人気歌手やベテラン歌手だと割合が高くなります。田原は当時二十歳そこそこの若手アイドルでしたが、どうやら歌唱印税の割合を高めて厚遇していたのでしょう。3%なら4320万円、3060万円、2652万円となりますし、もっと割合が高かった可能性すらありえます」(前出・芸能関係者)
どうやらジャニーズ事務所は月給を30万円に抑える代わりに、歌唱印税の割合を高めることで、稼ぎ頭の田原に報いていたのではないだろうか。それは水物的な商売のアイドルにおいては実のところ、真っ当な方法だったのかもしれない。