やはりマンガの影響力は相当に大きいようだ。
元アイドリング!!!で、現在はボイストレーナーとして活躍する遠藤舞が7月3日未明、メトロノームアプリの画像をツイート。「この間メトロノームアプリのこの部分をアイドルちゃんが『さすまた』って言ってた。音叉ですよ」とつぶやいていた。
そのアプリでは画面の上側に音叉のイラストが小さく描かれており、遠藤は手書きの赤い矢印で音叉を強調。音楽の授業などでおなじみの音叉だが、遠藤にボイトレしてもらっているアイドルは、それをさすまただと思い込んでいたようだ。
「音楽の授業で実物を見ることもある音叉ですが、一般家庭にはほとんどないこともあり、なじみの薄い器具だと言えるでしょう。それに対してさすまた(刺又)は警察などには常備されているものの、実物を見る機会はさらに少なそうなもの。ところが若い女子にとっては意外にも、おなじみのアイテムとなっているのです」(女性誌ライター)
なぜ、さすまたが若い女子にとって見慣れたアイテムなのか。それは日本中の女子がほぼ誰でも知っている人気マンガに理由があるというのだ。
そのマンガは「ちいかわ」。正式名称は「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」で、白くて小さく可愛らしい「ちいかわ」が主人公のファンタジー作品だ。友人のハチワレやうさぎとともに架空世界で展開される日常が描かれており、これが世間の女子には大人気なのである。
ちいかわは作者・ながの氏が開設した公式ツイッター上で連載されており、情報番組「めざましテレビ」(フジテレビ系)では火曜日と金曜日にアニメ版が放送されている。コミックスは現在第5巻まで発売されており、公式ツイッターのフォロワー数は228万人超というメガヒット作品だ。
「同作品ではちいかわたちが、街を脅かす害虫らしき外敵を『討伐』する場面もあり、その際に使う武器がさすまたなのです。このさすまたが人気グッズになっており、さすまた型のボールペンや、ビニール製の柔らかいさすまたといったグッズを展開。それを構えて『やーっ!』と声をあげるのが定番の遊び方となっています」(女性誌ライター)
「ちいかわ」のコミックス第1巻では、左下にピンク色のさすまたが置かれているのが分かる。実物のさすまたに比べるとずいぶんと頼りない代物だが、そのぶんアイテムとしての可愛らしさは上々だ。
そんな「ちいかわ」の影響により、先端が二股になったものは「さすまた」に見えるというのが、イマドキ女子の常識なのだろう。そもそも音叉の「叉」には二股という意味があり、さすまたも同じ漢字を用いて「指叉」と表記することもある。
もし中学生が音叉を手に「やーっ!」と叫んでいたら、音楽用の器具を危ないことに使っちゃいけないと目くじらを立てずに、可愛いことをやってるなと温かく見守るのが吉なのかもしれない。