4月3日にスタートした13年度前期のNHK朝ドラ「あまちゃん」の再放送が大好評だ。ロケ地の岩手県久慈市ではコロナ禍で中止されていた「北限の海女」の定期実演を4年ぶりに再開。三陸鉄道でもあまちゃんをイメージしたラッピング列車「三陸元気!GoGo号」が登場し、当時のファンに加え再放送を見て興味を抱いた人たちで賑わいをみせているという。SNSでは関連ワードが連日トレンド入りしているように、このすさまじい勢いは最終回の9月末まで続くことは間違いないだろう(5月10日配信)
そういう仕組みになっているのか! 初めて知った人も多かったようだ。
5月10日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第33回では、ヒロインのアキ(能年玲奈)に恋をしているヒロシ(小池徹平)が、大きなショックを受けることに。アキに好きな人がいることを知ってしまい、傷つく姿が描かれた。
アキの母親・春子(小泉今日子)はヒロシに対して、「るいがとひなきす」という呪文のような言葉を投げかけていた。その意味は春子自身から「好きな人がいる」の逆読みだと明かされていたが、その場面を巡り、NHK側がいかにこの言葉を重要視しているのかが示されていたというのである。
この「あまちゃん」では登場人物が訛りの強い北三陸弁を話すこともあり、字幕機能をオンにしている視聴者も少なくない。標準語で話す春子やユイ(橋本愛)にしても早口の場面が多く、セリフを隅々まで理解するために字幕を活用するケースも多いようだ。ところが今回、その字幕が表示されなかったという。
「7時14分に能登地方で地震が発生し、NHKでは緊急地震速報を発報。7時15分に始まった『あまちゃん』の冒頭では緊急地震速報のチャイムが響き渡り、セリフすら聞き取れない状況でした。しかも緊急地震速報が映し出されている間はどうやら字幕が表示されない仕組みになっているらしく、今回ばかりは字幕なしでの視聴となっていたのです」(テレビ誌ライター)
緊急地震速報の重要性を鑑みれば、字幕が表示されないことに不満を唱えている場合でないことは当然だ。ただ7時21分ごろには緊急地震速報の表示やテロップが消えていたにも関わらず、字幕オフの状態は続いたまま。「字幕を再開してほしい」との声があがったのも無理はないだろう。
このまま最後まで字幕が表示されないままなのか…とあきらめる視聴者も多いなか、7時27分を過ぎたところで突如、字幕が復活。その場面こそ、春子が呪文を口にした瞬間だったのである。
「アキへの想いをあきらめられないヒロシは『何が違うんですか!?』と春子に質問。すると思案顔の春子はボソッと『るいがとひなきす』とつぶやきました。その時点ではまだ字幕がオフでしたが、春子が同じセリフをもう一度繰り返した瞬間に突如、字幕がオンに。そのおかげで視聴者は『るいがとひなきす』という謎の言葉を理解することができたのです」(前出・テレビ誌ライター)
このタイミングでの字幕再開は、あくまでたまたまだったのかもしれない。だが話の流れを見れば、「るいがとひなきす」(好きな人がいる)という言葉の重要性を考慮したNHK側が、あえてここで字幕機能をオンにした可能性もあり得るのではないだろうか。
アキに好きな人がいることを知ったヒロシはその後、アキが潜水実習を受けているプールに向かい、プール内を覗ける窓に「るいがとひなきす」と書いてみせていた。
春子の発した言葉を理解できているかどうかで、この場面に抱く印象は大きく変わってくるはず。どうやら「るいがとひなきす」はNHK側もその重要性を認識しているパワーワードだったのかもしれない。