これまで約30年に渡ってジャニーズ事務所のグループがフジテレビでスペシャルサポーターを務めてきたバレーボールのワールドカップだが、今年9月に開催される大会ではジャニーズ所属タレントはいっさい出演しないと7月20日発売の「週刊文春」が報じた。
同誌によると、4年に1回行われてきたワールドカップでは1995年のV6から始まり、99年は嵐、2003年はNEWS、07年はHey! Say! JUMP、11年と15年はSexy Zone、19年はジャニーズWESTがスペシャルサポーターとして出演。今大会では6人組グループの「Aぇ!group」が務める予定だったという。
「しかし、ある参加国から『ジャニーズのアイドルが大会に関わるのであれば出場を取りやめる』と強い抗議があったそうです。大会関係者によると原因は故・ジャニー喜多川氏の性加害問題に他ならないといい、イギリスのBBCが3月に報じたことも大きいのだとか。スポーツ界でもハラスメントが問題視される中、見過ごせなかったとのことです」(芸能記者)
その結果、7月に入る頃にはAぇ!groupの降板は決定し、夏に開く予定だった記者会見も中止になったそうだ。
この報道にネット上では「参加国からの抗議は至極当然のこと。寧ろ、この期に及んでまだサポーター起用をしようとした日本バレーボール協会、フジテレビが異常」「当然ですよ。特に世界的なスポーツならこういう事になるのはわかっていたはず」など当然とする声もあったが、「さすがにタレントは可哀想じゃない?」といった声もあがっている。
「今回の件は、いわゆるキャンセル・カルチャーと呼ばれるもの。2010年代中頃から欧米で生まれた排斥運動で、著名人の過去の犯罪、不祥事、不適切な言動の記録などを掘り起こして炎上を誘い、社会的地位を失わせる運動やそれを良しとする風潮を指します。日本では、21年の東京オリンピックの演出に参加する予定だったミュージシャンの小山田圭吾、演出家の小林賢太郎氏が過去の言動を理由に解任されており、これが国内初の本格的なキャンセル・カルチャーと言われています。今回の件で言うと、告発されたジャニー氏はすでに故人。本来キャンセルしようもないのですが、ジャニーズ事務所自体は存続しているため、事務所がキャンセルの標的とされてしまった形になります。それを良しとしてしまう風潮は、個人主義が希薄で連帯責任を重んじる日本人ならではの感覚かもしれません。もっとも、ジャニーズ事務所については、かつて最高裁で性加害が認められたのに、当時は大手メディアが報じなかったなど、根深い問題があるわけですが…」(週刊誌記者)
キャンセル・カルチャーは攻撃性と不寛容さが行きすぎ、善か悪かの発想しかなく、その中間がないという批判もあるという。はたして、今回の件は妥当なのか、それとも行き過ぎた部分もあるのだろうか。
(柏原廉)