2013年上期のNHK朝ドラ「あまちゃん」第101話が7月28日に放送され、主人公・天野アキ(能年玲奈=現・のん)が所属するアイドルグループ・GMTを擁する芸能事務所の社長・太巻こと荒巻太(古田新太)はアキに、面と向かって「キミはデビューできない」と言い放った。
冒頭シーンで、決まっていたGMTのデビューが中止になり、荒巻に食ってかかるアキ。荒巻と母・春子(小泉今日子)の関係を知っていたアキは、デビューできない理由について「母のせいですか?天野春子の娘だからですか?私が」と問いただす。
すると荒巻は「そうだよ」と告げると、「ウチにいる限り、キミはデビューできない」と、冷たく断言。アキとマネージャーの水口(松田龍平)を社長室に招き入れると、若かりし頃の春子(有村架純)と荒巻、そして女優の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の因縁について語り出したのだ。
「鈴鹿のデビュー曲を春子が影武者として歌っていたことは、アキはすでに母から聞いていますが、これが初耳の水口は激しく動揺します。荒巻はこのことは鈴鹿も知らないと明かし、事実を知るのは春子とレコーディングに携わったスタッフ、そして自分とアキと水口の3人だけであると告げ、『絶対口外するな』とスゴみ、念を押したのです」(テレビ誌ライター)
春子が代わりに歌った鈴鹿のデビュー曲「潮騒のメモリー」は60万枚の大ヒット。荒巻は、現在の自分があるのは、半分は春子、もう半分は鈴鹿のおかげと明かし、「“鈴鹿ひろ美伝説”に傷をつけることは、オレにはできない」と語ったのだ。
荒巻は、アキが上京したのは自分と因縁がある春子が仕組んだものと思い込んだようだ。これに上京は自分の意志であり、母とは関係ないことを説明するアキに、荒巻は「ウチじゃなくて、別の事務所でもできるよね」と、他の事務所に移籍することを暗に促す。
「うちにいる限り、オレが潰すから」と、アキに最後通牒を突きつけた荒巻。しかし、この決定に違和感を覚えた視聴者は少なくなかったようだ。
「荒巻がもっとも恐れているのは、鈴鹿ひろ美の過去が暴かれて実績に傷をつけられること。しかしそれなら、真相を知ったアキや春子は味方につけておいたほうが得策なはずです。“半分は春子のおかげ”と荒巻自身が言った通り、デビューさせてやれなかった春子の思いに報いるためにも、『アキのことは大切に扱いデビューさせるべきでは?』という意見の視聴者が、10年前の本放送時にも大勢いたのですが…」(前出・テレビ誌ライター)
はたして、荒巻はなぜ逆効果とも言うべき「アキを事務所から追い出す」策に出たのか。今後の展開に注目したい。
(石見剣)