来年2024年をめどに、火災保険料が値上げとなります。ですが、すべての人が値上げの影響を受けるわけではないため、正しい情報を知っておきたいものです。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの解説のもと、火災保険料の値上げの概要や保険料を抑えるポイントを紹介していきましょう。
■なぜ火災保険料が値上げするの?
近年、火災保険料は台風や豪雨などの自然災害の増加に伴い、支払われる保険料が増えていることから値上げが続いています。ファイナンシャルプランナーの清水香さんによれば、2024年以降、火災保険料が再び改定される見通しだといいます。
「火災保険料を決める際、損保各社が参考値とする損害保険料率算出機構が提供する『参考純率』が2023年6月に改定され、全国平均で13%引き上げとなりました。さらに、洪水や土砂災害といった水災リスクに対応する水災料率が、市区町村の水災リスクに応じて細分化されます」
今後は、居住地の水災リスクに応じた火災保険料を負担することになるようです。
■値上げの影響を受けるかどうかを確認するには?
気になるのは、自分が今住んでいるエリアや住居が値上げの影響を受けるのかどうか。清水さんは次のように解説しています。
「私たちが実際に負担する保険料は、来年以降各損保会社から提示されることになりますが、そのときの保険料の傾向は、参考純率の改定率である程度知ることができます。 火災保険料は、建物構造と居住地、さらに築年数で異なります。建物は、構造別にM構造(マンション)、T構造(一定の耐火構造の建物)、H構造(MおよびT構造以外)の3つに区分され、各市区町村は1~5等地の5つの水災等地に区分されます。該当する建物構造と市区町村の組み合わせ、さらに築年数が加味されて適用される料率が決まります」
では、どうすれば住んでいるエリアのリスクを知ることができるのでしょうか。
「住所地そのものの災害リスクを知るには、市区町村のハザードマップを確認しましょう。ハザードマップは、想定した一定の自然災害で生じる被害の範囲を地図で示したものです。洪水や内水氾濫、土砂災害、高波や噴火など地域の災害特性に応じたハザードマップを市区町村が作成して住民に配布しており、市区町村のウェブサイト上でも確認できます」
また、損害保険料率算出機構が「水災等地検索」というページを公開しており、市区町村を選択すると、水災等級を確認できます。リスクが最も低い「1等地」から最も高い「5等地」の5区分があり、現行の水災料率は全国一律ですが、今後は居住地の水災リスクに応じた火災保険料を負担することになります。こちらもあわせて活用しましょう。
■火災保険料を抑える3つのポイント
火災保険料は、契約時に期間や支払い方法をうまく選択することで、金額を抑えることが可能です。清水さんは、次の3つのポイントを挙げています。
1.保険期間を長くする
火災保険期間は1~5年の間で選択できますが、同じ補償内容であっても保険期間が長いほど保険料が抑えられます。
2.保険料をまとめて支払う
保険期間5年でも、年1回を5年にわたって支払うより、5年分を一括払いするほうが保険料の総額は抑えられます(保険料が5年間変わらない場合)。より長い保険期間で、かつできるだけ保険料をまとめて支払えば、補償内容を変えなくても保険料を抑えられます。
3.補償や特約を取捨選択する
補償範囲が広いほど火災保険料は高くなり、絞り込むほど安くなります。ただし、生活基盤に深刻な影響が及ぶ水災や風災の補償は、優先的に検討したうえで絞り込みましょう。
いかがでしたか? ぜひこれらのポイントを押さえながら、火災保険料の値上げに備えましょう。