【らんまん】寿恵子が帝国軍人を魅了した「芳流閣」は「八犬伝」序盤随一の名シーンだった!

 8月29日に放送されたNHK朝ドラ「らんまん」第107話で、主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の妻・寿恵子(浜辺美波)が、講談師さながらの名調子で陸軍のうるさ型たちを夢中にさせるシーンが描かれた。

「時は明治27年、西暦でいうと1894年は日清戦争が勃発した年。日本は清に勝利し、下関で結ばれた講和条約の結果、日本は台湾や遼東半島を割譲させ、莫大な賠償金も得ました。結果、日本国内の景気は良くなり、寿恵子が仲居として働く叔母・みえ(宮澤エマ)の料亭『巳佐登』も大いに繁盛することになったんです」(テレビ誌ライター)

 その日、「巳佐登」を客として訪れた陸軍の一行は、芸者が到着するまで待たされることに。ここで、みえから芸者が着くまで場をもたせることを頼まれた寿恵子の本領が発揮されたのだ。寿恵子は自身が大好きな滝沢馬琴の南総里見八犬伝の一節「芳流閣」の場面を陸軍の一行に語って聞かせ、見事に彼らを大満足させたのだ。

「『芳流閣』とは物語の主人公である八犬士のうちの二名である犬塚信乃と犬飼現八が出逢う有名なシーンで、現在でも歌舞伎や舞台で取り上げられることが多い。信乃は犬塚家に伝わる名刀・村雨丸を古河公方・足利成氏に献上しようとするのですが、信乃の伯父により偽物とすり替えられており、怒った公方は信乃を捕らえようと、捕り物の名手である現八を差し向けたのです。二人は利根川に面する物見櫓である『芳流閣』の屋根の上で戦い、もつれあって利根川に転落。舟に落ちて下流の下総・行徳へと流されてしまいます。ここで二人は新たなる犬士と出会うことになるのです」(文芸誌ライター)

 そんな名場面を語る寿恵子の口調は見事なもので、演じる浜辺には「もっと聞きたかった」「久しぶりに八犬伝を読みたくなった」といった声が視聴者から寄せられたのだ。

 そんな寿恵子の働きが奏功したかどうかはさておき、万太郎には陸軍から依頼が舞い込む。植生調査のため台湾に派遣されるという大仕事、万太郎はどんな成果を上げるのだろうか。

(石見剣)

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