ついにあと1回だけか…。そんな声があちこちから聞こえているようだ。
9月28日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第154回では、岩手・北三陸市の海女カフェで合同結婚式が開催。3組の中年夫婦が幸せいっぱいの結婚式を挙げ、翌日の最終回に向けて大団円の雰囲気は盛り上がるばかりだ。
そんな最終週にて、ファンの間では「あまロス」が心配されることに。2013年の本放送時には「あまちゃん」の終了と共に、大きな喪失感に襲われる視聴者が続出。10年ぶりの放送でも再び「あまロス」に見舞われることを心配する人は少なくない。
しかも10年前のあまロスが当時、社会現象とさえ言えるほどの広がりを見せていたことから、今回はどうなるものかと心配する声も続出。そのなかで、10年前とは大きく変わった反応も生まれていたというのである。
「本放送時の平均視聴率は20.6%で、20%の大台を突破したことでも知られています。ただそれは関東地区での話であり、関西地区では16.9%に過ぎませんでした。2011年に発生した震災の記憶も生々しいなかで放送され、東日本の視聴者には大きく響いたものの、震災の影響がなかった西日本の視聴者にはいまいちピンとこないとの分析も多かったのです」(テレビ誌ライター)
物語の舞台が岩手県の三陸地方であることも、そもそも岩手がどこにあるのかもすぐにイメージできない西日本の人たちにとっては、作品の没入しづらい理由の一つとなっていたことだろう。
ところが本放送から10年が経ったいま、西日本の視聴者が「あまちゃん」に対して抱くイメージが、大きく変化したというのである。それはまさに「あまロス」に現れていたというのだ。
「『あまロス』というキーワードの検索回数を調べると、なんと東京よりも大阪のほうが多いのです。本放送当時には反応の鈍かった関西地区ですが、10年後の再放送ではむしろ関東地区よりも『あまロス』への危機感が大きくなっている様子。その原因はおそらく10年という時の流れにあるのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
本放送当時には、自分たちが体験しなかった震災や、遠く離れた岩手の話題がメインだとして「あまちゃん」に興味の沸かない視聴者も少なくなかった関西地区。だがメディアで「あまロス」が大きく報じられたほか、ヒロインの天野アキを演じた能年玲奈(現・のん)が芸能トラブルに巻き込まれたことも話題となり、むしろ放送終了後に「あまちゃん」への興味が高まった面も否めないだろう。
満を持して行われた今回の再放送では、本放送当時に視聴率が低かったぶん、関西地区には「あまちゃん」を初めて観るという視聴者も多かったはず。そうなれば作品の素晴らしさに感動し、2013年当時の視聴者と同様に「あまロス」に陥るのも納得というものだ。
二度目の「あまロス」も十分にショックだが、初体験の「あまロス」を超えることはないはず。これから初めての「あまロス」を迎える関西地区の視聴者を、関東地区の視聴者は少し羨ましがっているのかもしれない。