日本中からすすり泣きが聞こえていたようだ。
NHK連続テレビ小説「らんまん」の最終回が9月29日に放送され、主人公の万太郎(神木隆之介)と妻・寿恵子(浜辺美波)の夫婦愛に多くの視聴者が感動だ。
ついに完成した植物図鑑には寿恵子の名前を付けた新種の「スエコザサ」も掲載。寿恵子が微笑みを見せたシーンには涙腺を崩壊させてしまう人も少なくなかった。
二人は図鑑を見ながら、出会いから共に歩んできた人生を思い返すことに。ぼたんが載ったページでは、出会ったばかりの万太郎にぼたんの花が好きだと寿恵子が告げた場面がプレイバックされるなど、まるで走馬灯のような演出が施されていた。
「万太郎のモデルとなった牧野富太郎博士について知らない視聴者でも、寿恵子が間もなく虹を橋を渡るであろうことに気づくはず。図鑑を見ながら寿恵子がこれまでの人生に思いを馳せたのは、まさに走馬灯そのものでした。そこで映し出された数々の場面に視聴者も『あのころ二人はまだ若かった』とこれまでの物語を想起し、万太郎と寿恵子の人生を追体験している気分になったことでしょう」(テレビ誌ライター)
物語の根底を貫いた強い夫婦愛。死の間際までその愛が続いていたことに視聴者は感動していた。
しかも万太郎・寿恵子夫婦を襲った不幸に思いが及んだシーンでは、それまで感情を抑えていた視聴者まで涙腺を崩壊せざるを得なかったのである。
「万太郎は図鑑の謝辞で寿恵子のほか、子供たちや弟子、お世話になった教授など様々な人たちの名前を列挙。そのなかには、夭逝した長女・園子の名前も挙げられていました。その場面では幼子の園子が可憐な植物を見つける場面がプレイバックされ、その可愛らしさに子育て世代の視聴者らが涙を誘われずにいられなかったのです」(前出・テレビ誌ライター)
朝ドラの最終回にてそれまでの登場人物が次々と登場するのはよくある演出手法のひとつ。この「らんまん」にしても図鑑の完成が間近に迫るなか、万太郎に関わってきた人物たちが手伝いを申し出、続々と万太郎のもとに集まってきた。
最終回の前日には博士号の授与式を終えた万太郎の自宅に子供たちも全員集まることに。これで牧野家が勢ぞろいかと思いきや、万太郎と寿恵子はそこにいないもう一人の子供のことも忘れていなかったのである。
「図鑑にヒメスミレの項を見つけた寿恵子は、園子がヒメスミレの花を見つけた場面を思い起こしていました。万太郎にも寿恵子にとっても忘れることのできない草花であるヒメスミレが載っているこの図鑑は、二人にとっては人生の記録そのものに違いありません」(前出・テレビ誌ライター)
本作を観終わった後、これまでよりも植物に興味が向くようになった視聴者も少なくないことだろう。