「週刊文春」が報じた過去の性的行為強要疑惑を受け、お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志が活動休止を決めたことで、テレビの現場も騒然としているようだ。
中でも、彼らのライフワークともいえる冠トークバラエティ番組「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)を制作する読売テレビの大橋善光社長は、1月17日に行われた新春会見にて、「現状がわからない」として困惑していると明かした。また、「困惑しています。どうするべきか慌てている状態で、視聴者に申し訳ないし、どうお詫びをしようかという思い」とも説明。続けて「何が起きていて、どうなっていくのか。客観的に知りたい。個人的には、会見などの形である程度明らかにしていただくのが好ましい」と、松本に会見を開くよう促したものだ。
また、松本と週刊文春の双方の主張がどこかで決着を迎えた場合の局としての対応を聞かれ、「視聴者の方が望んでいないものを放送する必要はないが」と前置きした上で、“たとえば、報道番組で松本さんと被害を訴える女性側との対決があれば、こちらとしてもぜひ放送したい”という意味の発言をした。
「ところが、このコメントについて、あるメディアは、松本と女性が『直接対話するということがあるならば』と表現し、のちに『それぞれ番組に出てもらえるならば』と修正。また、別のネットメディアでは、松本と女性が『対決してくれると言うのであれば』などとも記述され、これが、大炎上を引き起こしたんです。要は、“松本と女性の対談があれば放送したい”との発言と捉えた読者も少なくなかったんです」(テレビ誌ライター)
ネット上には、「疑惑段階とはいえ性犯罪かもしれない加害者と被害者を対話させるとか感覚ズレすぎ」「ここまで間の抜けた発言をトップがするもの?」「地獄絵図。やっぱり視聴率が取れれば何でも良しとしか考えてない」「完全に2次加害」「即刻で辞任を要求するレベルの発言」などと批判が殺到。告発した女性側が、なぜテレビの場でみずからの性被害にまつわる対話を“加害者”としなくてはならないのかと指摘され、なぜ会見の場でこうした発言ができるのかと、社長の感覚が疑われたのだ。
「しかし、その後、1月19日配信のWEB女性自身が改めて発言の真意を読売テレビに取材。すると、問題の発言部分を文字に起こして示しつつ、発言の趣旨は松本、女性の双方が納得の上で取材に応じてもらえるなら報道機関として人権に十分配慮した上で一方的な主張にならないよう互いの主張を取材し放送したいというもので、一部記事が報じたように『直接対話』という言葉は発言していないと回答したんです。おそらく読売テレビにも直接相当な数のクレームが届き、即座の対応となったようですね」
問題の会見で、大橋社長は「現状がわからない」「視聴者に申し訳ない」と語っていたが、そこからは30年以上も続く看板番組を制作する同局側にほぼ相談なしに活動休止を告げられたことが推測される。そこで精一杯、視聴者の側に立った発言をしたのかもしれないが、やはり言葉足らずだったことは否めなかったと言えそうだ。
(木村慎吾)