史実通りのエピソードながら、視聴者を驚かすには十分だったようだ。
1月30日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第83回では、舞台「ジャズカルメン」千秋楽の舞台を控えるヒロイン・スズ子(趣里)の楽屋に、茨田りつ子(菊地凛子)が来訪。雑談を交わすなか、10年前に出産していたことを明かす場面があった。
いつもながら辛口のりつ子だが、スズ子のおなかにいる赤ん坊には妙に優しい様子。「本当の本番は産んでから」と言うりつ子に、スズ子が「そんな…経験者みたいに」と反論すると、「私、子供産んでるのよ」と告白したのである。
「りつ子のモデルである淡谷のり子は昭和13年に長女を出産。当時は年齢を数えで表す習慣もまだ健在で、昭和22年の段階でりつ子が『もう10歳』と説明したのも不自然ではありません」(芸能ライター)
りつ子は産んだ時期を「あなたに出会うちょっと前よ」と説明。これは史実にも、ドラマの時系列にも沿っている。二人が初めて出会ったのはスズ子が梅丸楽劇団で活躍し始めた昭和14年4月のこと。11月13日放送の第31回では作曲家の羽鳥善一(草彅剛)がりつ子をレコード会社に案内し、同じレコード会社の先輩であるりつ子に引き合わせる場面があった。
りつ子は今回、娘について「田舎の母に預けっぱなし」と説明。スズ子と初顔合わした時はすでに出産後だったが、どうやら当時から娘とは離れて生活していたようだ。
そんなりつ子の告白に視聴者からは<茨田りつ子に子供がいた!?><衝撃の告白だ…>と驚きの声が続出。妊娠中にもかかわらず舞台を続けているスズ子のことを、りつ子がうらやましがっている描写ではないかとの推測もあるようだ。
一方では今回の出産経験告白を見て、<これで腑に落ちた>と納得する視聴者もいた。というのも、この場面が4カ月ぶりの伏線回収になっていたからである。
「第1回ではスズ子が楽屋で娘をあやす場面でスタート。羽鳥から早く舞台に出るように急かされると、娘をりつ子に預けて楽屋を飛び出ていきました。いくら仲の良い歌手同士と言えども赤の他人に赤ん坊を託すものかと訝る視聴者も多かったのですが、りつ子が出産経験者だと分かった今回、スズ子が安心して娘を預けていたのも納得という声があがっています」(前出・芸能ライター)
赤ん坊を抱くりつ子は、青森弁で「私のおっぱい飲んだげな」と話しかけていた。その言葉には、産んですぐの娘を実家に預けたことへの後悔もにじんでいたのではないだろうか。今回の告白を受けて、りつ子の気持ちを推しはかる視聴者もいたことだろう。