アニメ映画「君の名は。」の累計興収が189億円を突破し、国内歴代興収第6位の「もののけ姫」(興収193億円)、歴代5位の「ハウルの動く城」(196億円)を抜くのは時間の問題となってきた。
今年8月に日本で公開されると、週末映画興行ランキング1位を連覇。台湾、タイ、香港など92の国と地域での上映が決定し、12月2日からは中国、その後マレーシア、フランス、韓国で順次公開予定だ。映画祭でも引っ張りだこで、数々の賞を根こそぎさらっている。映画ライターも絶賛する。
「実写映画に引けを取らない繊細で美しい風景描写、男女の入れ替わりと心の機微を描いた心象風景、意外性あふれるSFチックなストーリー展開に引きつけられますね。声優を務めた神木隆之介と上白石萌音のコンビネーションがまた、素晴らしくいいです」
特大ヒットの最大の要因となったのが、声優を務める神木隆之介の存在だ。神木は俳優歴21年の子役上がり。アニメや漫画オタクで、これまでにも「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「借りぐらしのアリエッティ」など、ジブリ作品に声優として参加した。「君の名は。」の原作・脚本・監督を担当した新海誠監督の大ファンで、これまでの作品の聖地巡礼をするほどハマっている。本作では監督自ら声を吹き込んだ熱血指導ビデオコンテをもとに、感情の入れ具合、間の取り方、しゃべるスピード、セリフの意味合いなど、細かいニュアンスまで正確に表現したという。
「ピアノを弾くシーンのためにピアノを猛特訓して、そつなく弾きこなしたり、棋士役のために将棋を練習、アマ初段免状を授与される腕前に上達するなど、嘘のない演技が身上です。漫画の実写映画『るろうに剣心』シリーズでは、原作漫画をリスペクトするあまり、漫画そのままの動きをトレースしたほどでした。だから原作漫画ファンにも反発されず、受け入れられたのです」(芸能ライター)
「子役は大成しない」というジンクスを見事に跳ね返した逸材といえそうだ。
(塩勢知央)