文藝春秋及び週刊文春編集長との第1回口頭弁論で、自身からの性被害を訴えた「A子」と「B子」の特定を求めたお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志だが、この戦略は諸刃の剣にもなり得るというのが、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏の見解だった。
松本は、2015年にスピードワゴン・小沢一敬が集めた女性(A子さん、B子さん)らとの飲み会で、同意のない性的な行為を強要したと週刊文春に報じられたが、これを否定。その上で、口頭弁論では女性らの氏名、住所、生年月日、電話番号、LINEアカウントなどを明らかにするよう要求したが、文春側はこれに応じるつもりはないという。
3月30日放送の「LIVEコネクト!」(関西テレビ)に出演した橋下氏も、この松本側の要請には「弁護士の中でも、『暴挙だ』と言われる人もいる」としたが、「ボクが文春と戦った時は1発目で言いました。『それ、誰やねん?』と」と、自身も同様の質問をしたと振り返る。
ただし、橋下氏の場合は、文春に“特殊浴場での性の接待を受けた”と書かれたが、「全くなかったから『いったい誰が言ってんねん?』と」と、本人にいっさいの心当たりがなかったことから強気に出られたと説明。その後、「(文春側からは)取材メモやらいろいろと出してきたけど、それがあやふやで、そういう人物はいないという認定で僕が勝った」と、結局は“橋下氏を接待した女性は存在しなかった”との判決に。
橋下氏はこの経験を踏まえ、「松本さん側が全く飲み会から何から無いって言うんだったら、『それ誰やねん?』はアリだと思う。逆に、飲み会はありました、女性とも会っていました、ということになると、これは文春側が『いや松本さん、それをわからないのは、多くの女性と会ってるからわからないんでしょ?』というふうに使われてしまう」と指摘。A子さんとB子さんの特定を求めることが、逆に松本側に不利に作用するリスクをはらんでいると語った。
「そもそも女性に対して人生で一度も性加害をはたらいたことがないのであれば、一貫して疑惑を否定し続ければいいだけの話にも思えますよね。A子さんらがどこに住み、どんな名前なのかを求める必要があるのかはやや疑問が残ります。しかも、松本は一連の文春砲に関して、1月8日更新のXで『事実無根なので闘いまーす』とする一方、その3日前の投稿では、15年の飲み会に参加した『A子さん』が、メンバー集めをした小沢に『会えて嬉しかったです』『松本さんも本当に本当に素敵で』と感謝を綴るLINEメッセージ画面を引用(画像を報じたのは『週刊女性PRIME』)。これを“平和な飲み会”だったことの証拠であるかのように『とうとう出たね。。。』と投稿しています。スクリーンショットには、『2015年11月9日』の日付や、小沢が開催した飲み会であることなどが情報として含まれており、松本本人がA子さんが誰かをある程度認識しているようにも思えるので、口頭弁論での要求と『完全に矛盾する』と考える人もいます」(テレビ誌ライター)
いずれにせよ松本は「事実無根」をどう立証していくのかが今後の裁判でますます注目されそうだ。
(木村慎吾)