6月30日放送予定の高橋一生主演による実写ドラマ「ブラック・ジャック」(テレビ朝日系)が大きな波紋を呼んでいるようだ。特に手塚治虫の原作マンガでは、銀髪の長髪が目を引く長身で隻眼の男性として描かれた、ブラック・ジャックのライバル的存在で、 安楽死の必要性と正しさを信念とするドクター・キリコが女性に改変され、石橋静河が演じるというのだから、黙っていられない人が多いことにもうなずける。
石橋は放送中のドラマ「燕は戻ってこない」(NHK)では、手取り14万円の派遣社員生活に疲れ、1000万円で卵子と子宮を提供する代理母を好演していると評判になっているが、それを打ち消すかのような勢いで「親の14光りのくせに」と大ブーイングがネット上で起きている。なぜ「14光り」なのかと言えば、父親が石橋凌、母親が原田美枝子だから。父親の7光りと母親の7光りを足して14光りという意味だ。決して石橋が悪いわけではないのにここまで叩かれてしまうのは、ドラマ公式ホームページに予告動画が公開されていたり、公式インスタグラムに写真が投稿されているから。そこには公称身長163センチの石橋が、無造作なざんばら白髪ショートへアのカツラを装着し、黒い眼帯に白いブラウス、白い膝丈タイトスカート、黒いタイツ姿で登場しているのだが、イマドキのレイヤーさんが石橋のキリコを見たら絶句しそうなほど、クオリティーが低いのだ。
さらに6月20日の朝日新聞に掲載された番組プロデューサー・飯田サヤカ氏のインタビュー記事によると、原作では男性のドクター・キリコを女性に変更した理由について「調べてみると、海外で安楽死をサポートする団体には、なぜか女性の姿が多い印象があった。脚本の森下佳子さんと相談しているうち、『優しい女神』のような存在が、苦しむ人のそばにいて死へと導くのかもしれない、と想像するようになった」などと述べているため、キリコは軍医の経験から安楽死が必要だとしているが、はたしてプロデューサーは原作をちゃんと読んだのか? もしや原作を読まずに「キリコ」という名前から女性と誤解したことが発端ではないのか? まさか石橋静河のキャスティングが先に決まっていて、苦肉の策でキリコを女性に改変したのでは? 等々、ロクでもない憶測が浮かび上がってきてしまう。
おそらくここまでブーイングが起きているということは炎上商法と同じく、石橋が演じるドクター・キリコがどんなキャラとして登場するのか、見てみる気持ちになった人もいるのではないだろうか。まさか初めからそれを狙っていたのか? いや、まさか、そんな。
(森山いま)