令和ロマン(髙比良くるま、松井ケムリ)が賞金王になりそうだ。
2人は昨年の「M-1グランプリ」で初の決勝進出にして、初の栄誉をゲット。過去最多エントリーとなった8540組の頂点に立ち、優勝賞金1000万円を獲得した。注目されたのは、その賞金の分配だ。事前にラジオでくるまが「1000万円くれたら頑張る」と発言したことで、ケムリが「優勝したら全額あげてもいいよ」と発言。口車に乗せられたケムリが、公約を守った。
しかし、そもそもケムリは、キャリア6年の若手ながらも金に困っていない。名門の桐朋中学・高校から1浪して慶応義塾大学に進学。父・敏浩氏は、大和証券副会長なのだ。今年4月に副社長から副会長となり、大企業のナンバー2となった。実家は都内でも高級住宅地で知られる渋谷区松濤。コンシェルジュ付きで、家賃は140万円だ。
ケムリが野心を失わないのは、“考察系芸人YouTuber”としても人気のくるまの存在が大きい。くるまは、M-1獲得前でキー局のレギュラーが0本のころから、24万円の家賃のマンションに住んでいた。豊富な知識量とデータによって、売れるメソッドは完璧。考察と分析を駆使して、漫才日本一に輝く結果を生んだ。
2人はさる7月7日、関西の伝統ある賞レース「第45回ABCお笑いグランプリ」でも悲願の初優勝。M-1王者が“逆挑戦”する大会初の異例で、貫禄Vを収めた。2年前にカベポスター、昨年はダブルヒガシに決勝ラウンドで敗れて、悔し涙をのんだが、3度目の正直でリベンジを達成した。優勝賞金は100万円。今回は満額、ケムリが受け取る予定だ。
令和ロマンは新元号の「令和」初日にあたる2019年5月に、「魔人無骨」から改名。すると、翌20年に「令和2年度NHK新人お笑い大賞」で大賞を獲得。賞金50万円を手に入れた。以降は右肩上がり。芸人史上初のM-1の2連覇を成し遂げるために、今年も参戦する。
「M-1では、連覇や返り咲きを狙った王者として過去にNON STYLE、フットボールアワーがいました。でも、残念ながら達成ならず。令和ロマンがもしクリアすると初。ダメでも、まだ9年もエントリー資格が残っている」(演芸評論家)
もし今年も優勝トロフィーを掲げることになれば、賞金総額は2150万円。令和の風雲児は、賞金ハンターになれるか。
(北村ともこ)