絵本作家・せなけいこ(本名・黒田恵子)さんが10月23日、老衰のため神奈川県逗子市の自宅で亡くなった。92歳だった。
せなさんは1969年、「いやだいやだの絵本」で作家デビュー。「にんじん」「もじゃもじゃ」「いやだいやだ」「ねないこ だれだ」の4冊セットで出版されたが、なかでも「ねないこ だれだ」は半世紀以上が経過した今も売れ続けているロングセラーだ。
せなさんが生涯に描いた絵本はゆうに100冊を超えるが、「ねないこ だれだ」の売上は突出している。取次会社トーハンが無料発行する小冊子「ミリオンぶっく」2024年度版によれば、1位「いないいないばあ」(750万部)、2位「ぐりとぐら」(567万部)、3位「はらぺこあおむし」(450万部)、4位「だるまさんが」(376万部)、5位「しろくまちゃんのほっとけーき」(362万部)に次いで、「ねないこ だれだ」は342万部の6位。
いずれも子育て経験のある人に はおなじみのタイトルだが、「ねないこ だれだ」に登場するおばけは、せなさんの息子が「ゲゲゲの鬼太郎」に夢中になっていたことから、子どもを喜ぶものをと考えて描かれたと言われている。
そのご子息・黒田龍之助氏は現在60歳。神戸市外国語大学に客員教授として籍を置く、スラブ語学者・言語学者で、著書は40冊を超える。「この親にしてこの子あり」といったところか。
たくさんの子どもたちの心の成長に貢献した、せなさんの冥福を祈りたい。
(所ひで/YouTubeライター)