12月10日に最終回を迎えた「あのクズ」こと「あのクズを殴ってやりたいんだ」(TBS系)。玉森裕太演じる葛谷海里だけでなく、奈緒演じる佐藤ほこ美、モモクロの黄色担当・玉井詩織演じる新田撫、小関裕太演じる大葉奏斗、倉悠貴演じる相澤悟と、みんな「クズ」な部分を持ち合わせていることでタイトル回収となり、すっきり幕を降ろしたと言えるだろう。
しかし、かつてはクズ男を演じたら右に出る者がいなかった役者・渡部篤郎のクズっぷりは、今作では描かれなかった。現在、TVerで視聴可能な2006年放送の山田孝之と綾瀬はるかW主演の名作ドラマ「白夜行」(TBS系)で、母親の浮気の末に生まれて裏社会に足を踏み入れ、母親と兄を刺して傷害罪で捕まった過去を持つ松浦を好演する渡部を見てもらえれば、きっと渡部が演じるクズ男の魅力を理解してもらえるだろう。
特に第6話の松浦(渡部)は秀逸で、「白夜行」をまだ見たことがない人は、クズ男・松浦に惚れてしまうんじゃないだろうか。「だからさぁ…あのことだけは言わなかったじゃぁぁぁん…あのことだけは…」と息も絶え絶えに訴える松浦のこのセリフを覚えている人は、きっと多いと思う。ワルで卑劣なクズ男が見せた情の深さは、TVerを見なくてもきっちりと思い出せるほど鮮烈で胸が締めつけられた。
11月3日放送の「だれかtoなかい」(フジテレビ系)にゲスト出演した渡部は、16年6月に再婚した一般女性との間に13歳の息子および8歳と6歳の娘がいると明かし、娘の影響で「サンリオキャラクター」に詳しいことが判明。番組が用意したサンリオキャラクターの画像をクイズ形式で問われ、「けろけろけろっぴ」「ぐでたま」「ポムポムプリン」「シナモロール」「バッドばつ丸」「ハンギョドン」「タキシードサム」と全問正解し、MCの中居正広と視聴者を驚かせた。
クズ男を演じることが似合っていた渡部は、今や娘を溺愛する56歳の父親になっているのだ。この事実に早く納得したい。
(森山いま)