「M-1グランプリ2024」を制し、前年に続く王者となったお笑いコンビ・令和ロマンだが、厳密には“ルール違反”に該当する可能性があったようだ。12月25日放送のTBSポッドキャスト「いったん、ここにいます!」で、同大会審査員の博多大吉が最終決戦における3組のネタ時間を紹介している。
M-1決勝では、漫才の持ち時間を4分と定めるルールがあり、大吉は各コンビがこれをしっかりと守っているかをチェックするために会場にストップウォッチを携帯し、実際に測定している。
今大会でファイナルラウンドに進出したのはバッテリィズ、令和ロマン、そして、真空ジェシカの3組だが、気になる測定結果について「真空ジェシカが決勝のネタで4分52秒やって、大幅に超えてたの。令和ロマンも4分50秒やった。で、バッテリィズは3分50秒だったの。(最終決戦を)見ながら、バッテリィズは面白かったけど、なんか食い足りないなと思ったけど、それは当たり前の話で、内容量が違ったんよ、1分も」と、ルールを守っていたのがバッテリィズだけだったと説明。
大吉は「4分のルールに基づくなら4分50秒は反則かもしれんけど、僕が気にするほど本戦って、時間のことあんまり気にしてないんだよね。なぜなら、やっぱり、テレビショーやから」と、30秒をオーバーすると強制終了となる予選との違いを指摘した。
それでも大吉は最終決戦の投票で50秒もタイムオーバーした令和ロマンに入れており、「バッテリィズが令和ロマンと同じくらい、もしくは、令和ロマンには届かないけど惜しかったというくらいなら、バッテリィズを推したかったけど、(時間の差以外にも)少し食い足りない感じもあったので。令和ロマンも5分を超えてたらあれだけど、4分50秒だし」と、“ルール破り”を考慮したとしても、やはり令和ロマンが王者に相応しいと考えたようだ。
「これはかなり意見が分かれるところでしょう。一応のルールとして定められている4分を大幅に超えた真空ジェシカはM-1決勝に4年連続で進出しており、令和ロマンも今大会で2度目の進出です。対して、バッテリィズは22年は準々決勝、23年は準決勝で敗退し、今回が初の決勝。つまり、“決勝では4分ルールに対する認識が甘くなる”という実態をバッテリィズが肌で感じたことはなく、律儀にルールを守った結果、少なからず損をしてしまったと考えることもできます。しかも、令和ロマンは12月23日のYouTube生配信で、最終決戦の2本目のネタに関して『絶対ちょっとオーバーする予定で。(4分)40秒ぐらいになる予定だったから。1本目は絶対にショート気味で終わらせようと勝手に思ってて』と、そもそも4分以内に収める意思がなかったことを打ち明けています。また、“ショート気味”と語る1本目も4分20秒と、20秒オーバーしており、若干の時間超過なら許されることを把握しているようなフシでした。これを、“M-1決勝慣れ”した経験値と解釈するか、“ルール違反”と取るかは様々ですが、わざわざストップウォッチを持ち込んでいた大吉ですら最終的に50秒オーバーした令和ロマンに投票しているわけですから、ほぼ形骸化したルールであるともいえますね」(テレビ誌ライター)
ネットでも賛否が分かれており、「シンプルにズルいと感じてしまう。現場の雰囲気とはいえ、真剣に4分で納めたコンビが損してる。プラス50秒あればもっと入れたい展開やボケはあったけど時間を考えてカットした所はあったと思う」とする指摘や、「50秒の差で、令和ロマンとバッテリィズの笑いの質や爆笑の量が入れ替わるとは思えない。そんな単純な差ではなかったと思う」などの反応もある。
一方、敗者復活戦も含めれば、M-1グランプリは7時間にも及ぶ“大特番”であり、それだけの長尺にもかかわらず、最終決戦の最も重要なネタ時間がわずか4分というのは、どこかバランスが悪いようにも見えてしまう
煽りや紹介VTRなど、カットできる場面は多いはずで、そもそもの漫才持ち時間をもう少し確保するのが健全な解決策なのかもしれない。
(木村慎吾)