Q:生後半年の男の子です。生まれた時から標準よりも大きく、体重もすでに9キロあります。泣き虫で、抱いてあやしても泣き止みません。疲れて、眠くて、手がしびれ、「このまま手を離したら楽になれる…私を寝かせて…」という思いが時折頭をかすめます。子どもがぐっすりと寝ていて冷静になっている時に思い出すと、自分でもゾッとしますが、いつか抱いている手を離してしまうのではないかと不安です。
A:このお母さんは、赤ちゃんを抱いている手を離してしまうかもしれない…と不安になり、追い詰められています。肉体的にも精神的にも育児疲れがたまってきているようですね。誰にも相談できず、もしも1人で抱え込んでいるようなら、要注意です。まずは、育児について相談できる人を探しましょう。自分の母親、兄弟、夫、もちろん友達でもかまいません。誰かに話を聞いてもらえるだけでも気持ちが落ち着きます。
まず、子どもの世話と同じぐらい、自分をいたわることを考えましょう。
夫やパートナーが一言「ちょっと代わろうか」と声をかけてくれれば、それだけで、お母さんの気持ちはかなり救われるんだ、ということをもっと家族に知ってもらいましょう。たとえ10分でもいいんです。子どもの泣き声から完全に離れるだけで気分転換ができ、気持ちの切り替えもできます。現実的に手伝うことができなくても、周囲の人がいたわる気持ちを態度で表すと、育児に疲れたお母さんの気持ちが楽になることを、周囲や、自分自身でも知ってほしいのです。
不思議なもので、お母さんの心の状態は、そのまま赤ちゃんに伝わってしまいます。お母さんが楽しい気分の時には赤ちゃんも笑い、不安な時にはいっしょに泣きます。もしかしたら赤ちゃんは、「お母さんがいつか手を離すんじゃないか?」と不安になって泣いているのかもしれません。育児ノイローゼにならないためにも、育児をするための健やかな環境を整えることが肝心です。子どものためを思うあまり、お母さん自身が健康を損なっては本末転倒です。子どもの世話をするのと同じぐらい、自分をいたわってください。
たとえば、週に1回か2回、1時間だけでもいいので、一人でゆっくり休める時間を作りましょう。それだけでも驚くほど気持ちがリセットされ、頭もスッキリします。
泣き止まない原因のひとつに、もしかしたら抱き方がぎこちなくて、赤ちゃんが不安になっているということもあるかもしれません。定期健診の際に、看護師さんから抱き方のアドバイスを聞いてみるのもいいでしょう。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)