Q:もうすぐ1歳になる男の子のママです。離乳食を始めたころから、食べ物を吐き出すようになりました。食事のたびに、床もテーブルも息子も食べ物でベトベトです。最近は、気に入らないことがあると、どこでも大泣きしてぐずります。外では怒りたいのをグッと我慢していますが、そのストレスがたまっているせいか、先日、怒りが爆発して息子の頭をペシッと叩いてしまいました。これは、ストレスが溜まっているのでしょうか? それとも育児疲れなのでしょうか?
A:まず、子供に危険があり、とっさのことだったとしても、首から上、つまり顔や頭を叩くのは止めてください。子供にとってママの手はやさしく自分を世話してくれる“守ってくれる”存在でなくてはなりません。自分を包み込んでくれるはずのやさしい手に叩かれれば、次からは視界のなかに手が飛び込んでくるだけで恐怖心を抱くようになります。ママの手がやさしい手から危険な手になってしまうからです。
さて、食事をきちんと食べてくれないとのお悩みですが、赤ちゃんの味覚は大人が想像するよりも鋭く、味を正確に判別できることがわかっています。乳幼児に実母を含む10人の母乳を搾乳して与えたところ、どの乳幼児も自分の母親のおっぱいを一番よく飲んだ、という実験データがあります。
今回の相談内容からすると、この子には、今食べている離乳食が合っていないようです。きちんと食事をしなければお腹もすくでしょうし、食が細いままでは低体重になる可能性があるので、子供の食事内容を考え直す必要がありそうです。
つまり、お母さんの作る離乳食や幼児食が、息子の味覚や食感に合っていないと思われます。歯が生え始めると“噛む”という食感を求めるようになるので、流動食のようなものを好まなくなっているのかもしれません。また、味付けについてもレシピ通りではなく、いろいろな調味料をプラスしてみるなど、チャレンジしてみてください。
自分で作るのが大変な場合、市販の離乳食を試してみるのもいいでしょう。子供がよく食べるものは何かを見ていると、気づかなかった息子の嗜好を知るきっかけにもなると思います。
「赤ちゃんは泣くのが仕事」といいますが、言葉で意思を伝えられない幼児は、実力行使…、つまり態度で表すしかないのです。おむつが気持ち悪いとかお腹が空けば泣くしかなく、食べたくないものは吐き出すなど、イヤなことは態度で抗議するしかありません。泣くということは、何かを伝えたいという意思表示だと受け止め、その意図は何なのかを探る努力をしましょう。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)