Q:食が細いからなのか、1歳10カ月の娘はとにかくご飯を食べてくれません。「食べる」と言って指差したものを取ってあげても、ほんの一口で終わりです。そのあとは、ぐずぐずしながら食べ物をいじっています。口まで運んであげると、また一口食べてはくれるのですが…この繰り返しで、楽しく食事ができていないようです。ハッキリ言って憂鬱です。「食べないなら下げなさい」という友人もいますが、下げると本当に食べないで終わってしまうし、栄養面が不安です。それで、つい、キツイ言い方をしてしまうと、娘も大きな声で怒鳴り返します。これって、私が至らないからでしょうか?
A:この質問でまず、気になったのはお子さんの体重です。体重曲線の下限ぎりぎりでも普通体重であれば、無理に食べさせようとはせずに、バランスの取れた食事で1、2カ月様子をみましょう。
子供だって、食べたくないときもあれば、たくさん食べるときもあります。たとえば、おやつを食べ過ぎているということはないでしょうか。そのおやつはどのような種類ですか。カロリーが高く、胃に入ってから膨張するようなものではありませんか。食卓には何品目並んでいるでしょうか。品数が多くて、それぞれから一口食べただけでも十分な量に達しているのかもしれません。
もしかしたら、与えている食事が娘さんの好みに合っていない可能性もあります。以前も書きましたが、お子さんにも味覚があり、嗜好があります。
まずは、決まった時間以外には、食べ物をあげないようにしてみましょう。歯も生え始めているでしょうから、やわらかい物だけでなく、ある程度噛みごたえのある消化しやすいものを加えてみるなど、食事の作り方も工夫してみてください。
そして一度、大人は手を貸さず、口も出さずに子供の好きなように食べさせてみてはどうでしょうか。食べても食べなくてもいいんです。散らかしてもいい。床などの汚れは、新聞紙やレジャーシートを敷いておけば後片付けも簡単です。お母さんも気を張らずに、リラックスした状態で娘と同時に食事を楽しんでみてください。
それでも一向に食べないのであれば、大人が食事を終えたタイミングで「食べないなら片付けるよ」とやさしく声を掛けて、下げてみるのも一手です。
子供が怒鳴り返してくるのは、誰のせいでもなく、大人のせいです。子供はただマネをしているに過ぎません。幼児の行動はすべて周囲の大人から学んでいるのです。子供が好ましくない行動に出たら、まずは我が身を振り返ってみましょう。周囲の大人が笑顔になること。おっかない顔をしたお母さんからご飯をすすめられても、おいしいわけがありませんよね。
育児雑誌や子育て本のとおりにならないのが子供です。憂鬱な気分のお母さんと食事をするお子さんが、どんな気持ちでいるのかを考えてみてください。
それでも食が細く、栄養面や発育に不安を感じるなら、定期健診のときに医師に相談することをおすすめします。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)