東京湾に浮かぶ人工島のお台場。そのアクセス道といえば、1993年に開通したレインボーブリッジだ。平成期の刑事ドラマ「踊る大捜査線」の映画版第2作ではカギを握る重要スポットになり、織田裕二演じる刑事が「レインボーブリッジ封鎖できません!」と嘆くセリフは流行語になった。
昨年公開されたスピンオフ映画のテレビCMでは柳葉敏郎が演じる元警察庁のエリートが「レインボーブリッジを封鎖した事件」と言われるたびに苦い表情で「封鎖できなかったが」と答えていて笑ってしまった。
そんなレインボーブリッジだが、意外にも歩いて渡れることを知らない人が多い。橋は2重構造になっていて上層は首都高速のみ。下層は中央から外側へ新交通ゆりかもめ、一般道、遊歩道が並んでいる。今回は歩いて渡ってみる。
最寄り駅のゆりかもめ芝浦ふ頭駅を出発。首都高速を見上げながら10分ほど歩くと芝浦アンカレイジに着く。ここの2階から無料エレベーターで海抜46メートルの遊歩道に上がるのだが1つ選択を迫られる。
遊歩道は北側のノースルートと南側のサウスルートがあり、対岸の台場アンカレイジまで変更ができないのだ。この日は少し風があるが日差しもあり、往路は南側、帰路は北側に決めた。
エレベーターを降り、遊歩道に出た瞬間、トラックの走行音と振動が伝わりビックリした。風は地上より強く少し寒いので、太陽が指す南側で正解だったようだ。遊歩道の右側はフェンス越しだが東京湾が望める。高所特有の足裏がムズムズする感覚が愉快だ。
レインボーブリッジは2本の主塔が支える吊橋になっていて、遊歩道は主塔の外側を回り込む。展望スペースを兼ねていて、休憩用ベンチもある。先着のオバちゃんたちが「マンハッタンの摩天楼みたいよ」と興奮気味に記念撮影している姿はほほえましかった。
この先は緩やかな上りになり、ほどなく橋の中央部に着く。海抜60メートルに位置し、桁下高は最も高い。隅田川へと遡上していく遊覧船や水陸両用バスを見下ろしながら、しばらく歩くと台場側の主塔が見えてくる。こちらも展望スペースになっていて、江戸後期に築造された海防拠点・品川御台場の第六台場が俯瞰できた。
さらに進んで台場アンカレイジへ。こちらはエレベーターではなく、700メートルほどの坂道を歩いて地上へ降りる。お台場に到着。とんぼ返りは味気ないので、ひとつ散策してみよう。
(次回へ続く)
内田晃(うちだ・あきら):自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。街道、古道、巡礼道、路地裏など〝歩き取材〟を得意とする。