Q:すぐ謝る子供に不安を感じています。息子は3歳になったばかりなのですが、こちらが怒っているわけでもなくほんの少し「危ないよ」と、注意した程度なのに「ママごめんなさい、ごめんなさい」と何度も謝ります。「ママは怒ってないよ、気をつけてくれればいいんだから謝らなくてもいいよ」と言ってもまた謝るのです。それは、私にだけではありません。もともと聞き分けのいい子なので普段から叱ることも怒鳴ることもないのですが、何か私に原因があるのでしょうか。こんな場合、どう対処したらいいのでしょうか。
A:ご相談内容から推察すると、息子さんはお母さんの表情の変化を区別できていない可能性があります。今、お母さんは怒っているのか、不機嫌なのか、やさしい気持ちでいるのかを表情から読み取ることができていないのかもしれません。お話をするときや抱きしめるときはやさしい笑顔、注意や叱るときは笑顔を見せずキリッとするなど、意識して表情を出すようにしてください。
息子さんの心理状態としては“ママは怒っているのかな?もう許してくれたのかな?今は安心していいのかな?ボク、よくわかんない…”といった感じでしょうか。
そんな息子を見て、許しているのに謝り続けることがこの先もたびたびあると、お母さん自身がうんざりしたりイライラしたりするようになるかもしれませんが、それは極力避けてほしいですね。
よく目にする光景で、歩道をはみ出して歩く子供に、たいていの大人は「危ないよ」と言って手を引っ張ります。親や保護者としては車や自転車にぶつかるのが危険だから注意をしているのですが、「危ない」という言葉よりも、手を引っ張られたこと自体がいけないことと誤った認識をしてしまっていて、手をつないでいることをいつまでも注意されたことと誤解して謝り続ける子がいます。
このようなときは「今度からどっちを歩けばいいと思う?」と聞いてください。そこで子供がどのような言い方であれ「歩道側を歩く」と答えることができたら「よくわかったね。えらいね」と褒めてあげてください。ここで子供は“叱られたことは終わった。もう、許された”と知って謝るのをやめるでしょう。
お母さんは“謝ってほしかったのではなく、注意したことに対してどうしたらいいのか考えてほしかった”ことを教えます。こうすれば子供は、注意されても不安がらずに“注意されたときはどうすればいいのか”と、解決策を考えるようになっていきます。
ですが、注意されたことと叱られたことの区別がつかずに、いつまでも謝り続けているようであれば、発達障害の可能性を考える必要があることも頭に入れておいてください。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)