耳のお掃除の方法といえば、大きくは耳かき派と綿棒派に分かれますよね。お風呂上がりには、綿棒で中に入った水分を取っている人も多いのではないでしょうか。それに恋人同士や親子で膝枕で耳掃除するのは、スキンシップの一部として、とっても気持ちがいいものです。
ところがこの度、アメリカの耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)が新しいガイドラインを発表して、各方面から驚愕の意見が寄せられています。
「『Otolaryngology-Head and Neck Surgery』(2017年1月3日号)で発表した、最新の臨床診療ガイドラインによると、耳垢には耳の中を湿らせて、ホコリの侵入を防いだり、細菌の増殖を防ぐ役割をしていると表記があります。なので、耳垢を取り過ぎる、きれいにし過ぎると、かえって“耳垢栓塞”を引き起こす恐れがあるとされています」と言うのは、ダイエットから医療関係までの記事を書く、医療/フィットネスライターの松尾直俊氏。
「それに、外耳道の皮膚が新しくなっていくと、表面の古い細胞が次第に外に押し出されていく自浄作用がある。それによって自然と入浴中に洗い流されたり剥がれ落ちるので、そのプロセスを阻害すると、かえって耳垢が溜まって、栓惻を起こすというのです。特に綿棒を使うと、耳垢を奥に押し込むことになって、それが促進されるとのことです」(前出・松尾氏)
耳を守るためのポイントとして、以下のような指針が書かれています。
・耳掃除をやり過ぎないこと
・綿棒や耳かき、ヘアピン、楊枝などの細いものを耳の中には入れないこと。これらの全ては、聴力損失、めまい、呼吸、および耳の損傷の他の症状につながる。
・痛みや聞き取りづらい、耳が詰まった感じがするといった症状は、耳垢が原因とは限らないので、必ず医師に診断を受けること
でも、やっぱり清潔に保ちたいもの、耳垢は気になりますよね。どうしたらいいのでしょうか。
「入り口から1cm程度のところを、外耳道の内壁に沿うように優しく拭うくらいで大丈夫です。耳かきや綿棒は、奥まで入れると内壁や鼓膜を傷つけて炎症の原因になるので、見えないところまでは、無理に入れないようにすることです」(前出・松尾氏)
簡単だと思っている耳掃除も、無理をすると思わぬことになりかねません。気をつけるようにしたいですね。