3月30日放送の「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第13話「お江戸揺るがす座頭金」では、前週第12話で「セカンド足抜け」にチャレンジした小田新之助(井之脇海)とうつせみ(小野花梨)がいまだに見つからず、「神隠し」として処理されようとしていることがわかり、視聴者から「安心した」の声を集めている。
また、瀬以(小芝風花)の心の中にいる蔦重(横浜流星)に嫉妬の炎を燃やして刀を持ち出してきた鳥山検校(市原隼人)と、心の中から重三(横浜)のことを消せず、それが鳥山のことを傷つけていることも自覚していると抗議する瀬以の切ない修羅場が描かれ、2人の今後に注目が集まっている。かつて屋敷を訪れた蔦重に声を弾ませていた瀬以に対し、「そなたは吉原に戻りたいのか?」「なぜ吉原の者たちとおるように声が弾まぬ」「なぜじゃ?わしはそなたが望むことはすべて叶えておるではないか」と迫るのだ。
瀬以は「吉原の者と話す声が弾んでいるとすれば、親兄弟に似た親しみがあるからかと」「それは旦那様をお慕いする気持ちとは別のものにございます」と必死に抗う。しかし、鳥山は「所詮わしは客ということか」「骨の髄まで女郎だな」などと酷い言葉を瀬以に投げつけたのだ。
鳥山を演じる市原はこの役を演じるにあたり、白濁したコンタクトレンズを特注したというが、坊主頭に白濁したコンタクトを装着した鳥山の姿は、見方によってはサイボーグのようにも見え、腰に短刀を差した鳥山が瀬以に詰め寄る様子は、背筋が寒くなるほど恐ろしかった。「骨の髄まで女郎」と言われた瀬以は、そこから「廓(くるわ)ことば」に戻り「仰せの通りでござりんす」と切り出し、「重三はわっちにとって光でありんした。あの男がおるならば、吉原に売られたことも悪いことばかりではない。一つだけはとてもいいことがあった、そう思わせてくれた男でござりんした」と正直に告白。「重三を斬ろうが、わっちを斬ろうが、その過去を変えることはできんせん」と言い切るも、「けんど、わかっているのでござりんす。主さんこそ、わっちをこの世の誰よりも大事にしてくださるお方であることを。人の心を察し過ぎる主さんを、わっちのいちいちが傷つけているということも。人というのは、どうして己の心ばかりはだませぬのでありんしょう。今や抱いたって詮なし。主さんを傷つけるばかりのこの思い、こんなものは消えてしまえと、わっちとて、願っておるのでありんすよ」と本音を吐露したのだ。
さらに「けんど、この世にないのは四角の卵と女郎の実(まこと)。信じられぬというならどうぞ、ほんにわっちの心の臓を奪(と)っていきなんし!」と検校が手にしていた刀を自分に向けたのだから、痛いほど切ない修羅場の行方が気になって仕方ない。次週第14話の「蔦重瀬川夫婦道中」というタイトルは、どう回収されるのだろうか。
(津島修子)