そろそろ親もいい年。相続の時期も近付いていることから、「なんとなく不安だ……」という人も多いのでは。それって、相続争いの話がマスメディアなどでもよく取り上げられるからかもしれません。
そこで今回は、税理士法人レディングの名古屋事務所所長で「相続専門税理士が教える 相続のめんどくさいが全部なくなる本」(ダイヤモンド社刊)の著者である前田智子税理士に、相続争いになりやすい家族構成や関係と共に、争いを回避するために今からやっておくべきことをうかがいました。
■相続争いになりやすい家族関係とは?
前田さんがこれまでみてきた中では、“3姉妹(3兄弟)”もしくは“嫁姑との仲がよくない男兄弟”が、とくに相続争いになりやすいそうです。なぜでしょうか。
●3姉妹(3兄弟)の場合
「3姉妹の場合は2対1の構図ができやすく、またとくに地方ではまだまだ家を守る考えが強いため、誰が家を引き継ぐか、誰が両親の墓守をするかを決めかねるところがあり、いらない財産の押し付け合いが発生しやすい傾向にあります」
●嫁姑との仲がよくない男兄弟の場合
「男兄弟の場合では、次男が『長男のほうが優遇されている』と感じている場合などは、とくに争いに発展する傾向があります。相続という特殊な場面では、小さい頃からの兄弟姉妹間の関係性が色濃く反映されると感じます。例えば、兄ばかり可愛がられていた、姉は小さいときからいつも上から目線で威張っているように感じていたなど。『今までは我慢していたけど、この際、本音を言います』と、弟や妹が主張するケースが多発します」
■相続争いを避けるために今からやっておくべきこと
●日頃からコミュニケーションを取るようにする
「結婚や就職を機に家族構成や生活スタイルが変わっても、顔を合わせたり連絡を取り合ったりすることが大事だと感じます。大きな休みには実家に帰るなど、常日頃から家族間で連絡を取り合い、お互いを気にかけ、思いやりましょう」
●実家の財産についてみんなで話し合う
「まずは、両親の側から財産の洗い出しをし、家族でどうやって引き継いでいくのかを話し合うことが理想です。話し合った結果を『公正証書遺言』という形で残しておくところまでできれば最高です。ハードルが高いと感じている方は多いですが、今は終活も一般的になってきていますので、お正月やお盆など家族が集まる機会にそっと話題を振ってみるのもいいかもしれません」
相続争いになりそうな家族構成や関係に当てはまる人はとくに要注意! 今から準備を万全にして争いを回避し、損しないようにしたいものですね。