3月28日にまでNHK朝ドラ「おむすび」で主役の結を演じていた橋本環奈は、休む間もなく4月22日からは「天久鷹央の心理カルテ」(テレビ朝日系)で主役の天久鷹央を楽しそうに演じている。「おむすび」では市井の管理栄養士を演じていたが、「天久鷹央~」では、アスペルガー症候群であり、広い意味でのサヴァン症候群による超人的な記憶力・計算力・知能を持つ、マンガから抜け出してきたような天才ドクターを演じている。病院内の各科で「診断困難」とされる患者だけでなく、外部から持ち込まれた事件まで、鷹央の手にかかれば簡単に診断され解き明かされてしまう。その反面、他人の気持ちを理解したり、空気を読むことが苦手なため、日常的なトラブルは絶えない。
そんな現実感の薄いキャラを演じているためか、橋本は「おむすび」の時よりもはるかにイキイキしているように見える。しかし、知念実希人氏による原作の連作医療小説「天久鷹央」シリーズには描かれていない「唇を指先で触ってブルブルさせる癖」が波紋を呼んでいるようだ。
どうやらこの癖が気になるかならないかで、ドラマの視聴継続が左右されると指摘する声があるのだ。
「唇を指先で触ってブルブルさせる癖」は、他人の気持ちを理解したり、空気を読んだりすることが苦手であるという設定に、説得力を持たせるための演出のようだが、橋本に子どもっぽいことをやらせていることに違和感を覚えている人もいるようで、そうした人はこのドラマを継続視聴することは難しいだろう。
ドラマオリジナルの設定を加えることは、配慮しなければならないことが非常に多く、かなり難儀なことのように思えてならない。
(森山いま)