放送中の桜井ユキ主演ドラマ「しあわせは食べて寝て待て」(NHK)に「癒やされる」「心が潤う」「優しくなれる」といった声がかなりあがっているようだ。
水凪トリ氏の同名マンガが原作のこのドラマは、38歳の麦巻さとこ(桜井)が主人公。「一生つきあわなくてはならない」病気にかかったことから会社を辞め、週4日だけデザイン事務所でパートをし、家賃5万円の築45年の団地へと引っ越し、質素な生活を送ることになった。しかし、隣に住む大家さんの美山鈴(加賀まりこ)や、そこに居候する“ニート”の羽白司(宮沢氷魚)らと知り合い、「薬膳」と出会うことで、さとこは身近な「しあわせ」に気付いていくという、大きな事件は特に起こらない「凪(なぎ)」のようなドラマだ。
4月8日放送の第2話では、「唐デザイン事務所」に訪れた編集者の青葉乙女(田畑智子)が「こう毎日(雨に)降られると気が滅入る」と言っているのを聞いたさとこは、自分のために用意していたみかんの皮を乾燥させたもの=陳皮入りのジャスミン茶を青葉に出した。その心遣いに気付いた青葉は気持ちが晴れやかになる。
4月22日放送の第4話では、さとこが「副業」をしようと自室にレンタルスペースを設けるも、心労が溜まることに。そんなさとこを「とろろ定食」を食べに行こうと誘った青葉は、さとこに「ネガティブ・ケイパビリティ」という「自分ではどうにもならないことを持ちこたえる能力」があることを教えてくれる。さとこはこれを「できない自分を認める能力」と理解して、手帳に書き込むのだが、ネット上には共感の声が今もまだあがり続けている。同時に「こういう気持ちにスポット当ててくれるから『しあわせは食べて寝て待て』が好き」という声も数多くあがっている。
できないことを認めたり、ちょっとした他人からの配慮に気付き、その配慮を返したりすることは、簡単なようでいて意外と難しい。電車の中で席を譲ろうと思っても、なかなかその勇気が出ないことを知っている人も多いと思う。そんな人には特に、この「しあわせは食べて寝て待て」を見てほしい。おそらく視聴する前よりも視聴した後は「しあわせ」になれると思う。
(森山いま)