「血圧が高い皆さん、減塩じゃなくて『ナトカリ比』。しっかりと効果を実感していただけると思うので、ご自身だけじゃなくて、まわりの血圧が高い方にもシェアしてあげてください」
自身のYouTubeチャンネル「腰痛・肩こり駆け込み寺」でこう呼びかけたのは、理学療法士の山内義弘氏(5月15日付)。のっけから「減塩が血圧低下に繋がるという因果関係を証明するのは研究データを通しても難しい」と、日本人の減塩信仰をひっくり返すコメントだ。海外の高血圧治療では、塩分そのものよりも「ナトカリ比」のほうに着目しているというのだが、さて「ナトカリ比」とは?
「ナトリウムとカリウムの比率です。特に血圧の高い方は、塩分(ナトリウム)の摂り過ぎではなくて、カリウム不足に陥っている。それが高血圧の原因になっている、というのが海外の一般的考え方になりつつあるんです」
山内氏によれば、体内の細胞の中では、カリウムとナトリウムとカルシウムの3つがセットで移動しているそうだ。つまりカリウムが不足するとナトリウムの占める割合が体内の水分とともに増え、その結果、水分増加分の血液の圧迫(高血圧)が起こるのだと解説。だから、カリウムをきちんと摂れば過剰なナトリウムも排出できるというわけだ。そして山内氏は、こんな興味深いデータを示した。
英国の「BMJ」という医師会誌に、日本の研究論文が掲載されており、日本人8283人を対象に24年間研究したところ、「ナトカリ比」が悪いグループは良いグループに対して、脳卒中の死亡リスクが1.39倍、心疾患リスクは1.47倍に高まったというのだ。
カリウムを多く含む食材は、ほうれん草、ブロッコリー、トマト、にんじん、かぼちゃ、キウイ、バナナ、じゃがいも、さつまいも、豆類、海藻類等などがある。
日本生活習慣病予防協会によれば、日本人の高血圧疾患の推計患者数は4300万人。もはや国民病とも言えそうだが、その対策にはこれまでの“塩分制限”だけでなく積極的な“カリウム摂取”も心掛けたい。
(所ひで/YouTubeライター)