運動能力向上を目的とした薬物使用(ドーピング)を容認して世界一を決める競技大会 「エンハンスト・ゲームズ」の開催が公表され、物議を醸している。
5月22日に運営団体が会見を開き、第1回大会を来年5月21日から24日までアメリカ・ラスベガスのホテル「リゾーツ・ワールド」で開催すると発表。
陸上・競泳・重量挙げの3種目が男女ともに行われ、陸上では 100メートル走とハードル。競泳は50メートルと100メートルの自由形とバタフライが予定されているという。
いわば、「ドーピング容認大会」と位置づけられる同大会にスポーツ界は大反発。世界反ドーピング機関(WADA)「危険で無責任なコンセプト」として強く非難した。
「『エンハンスト・ゲームズ』の会長を務めるのはオーストラリア人実業家のアーロン・デスーザ。2023年に『科学とスポーツの融合』を掲げて企画が立ち上がり、昨年1月にはビリオネアとして知られる投資家・ピーター・ティール氏が数百万ドルの資金提供を行ったことが話題となりました。トランプ大統領の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏も支援を表明し、世界中から資金が集まっています」(スポーツジャーナリスト)
前代未聞のコンセプトに加え、衝撃的なのが破格の賞金だ。同ジャーナリストが続ける。
「一種目につき優勝者には50万ドル(約7000万円)が贈呈され、100メートル走と50メートル自由型で世界記録を更新すると、さらに100万ドル(約1億4000万円)がボーナスとして与えられる。五輪と比較すると、五輪では国や競技団体から報奨金が贈られるケースはあるものの、基本的に賞金という概念はありません」
さらに同ジャーナリストは“ある根拠”から「参加者殺到は間違いない」と指摘する。
「パリ五輪の自由形50メートルにギリシャ代表として出場し5位だったクリスティアン・ゴロメフが『エンハンスト・ゲームズ』の管理下で2週間のドーピングを行ったところ、アッサリと世界記録を更新したとのこと。ドーピングの威力が凄まじいことを証明した。1年後の大会で優勝すれば、ほぼ確実に100万ドルのボーナスがついてくることから『健康被害のリスクを負っても参加したい』と考えるアスリートは少なからずいるでしょう」
スポーツ界を揺るがす大会に向けての様々な動きが今後注視される。
(塚原真弓)=画像はイメージ=