放送中の多部未華子主演ドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」(TBS系)でディーン・フジオカ演じる2年間の育休を取得した厚生労働省に勤務するエリート官僚・中谷達也に「現実感の薄いキャラなのに、霞が関には存在してそう」と称賛の声があがっている。
ディーン演じる中谷は、妻である樹里(島袋寛子)からのみ「たっちゃん」と呼ばれている、妻のことが大好きなくせにそうだと言えない不器用さがとてもチャーミングなキャラクターだ。プライドが高い完璧主義者で、自分ができることは他人もできて当然だと思っている、融通が利かない厄介なキャラなのに、ディーンが演じるとクスッと笑えるかわいいキャラに見えてしまうから不思議だ。
ちょっとした「天然さん」に見える「たっちゃん」も、これまでにディーンが演じてきて実に似合っていた、NHK朝ドラ「あさが来た」の五代友厚、「モンテクリスト伯‐華麗なる復讐‐」のモンテ・クリスト・真海、「シャーロック アントールドストーリーズ」(いずれもフジテレビ系)の誉獅子雄といった“浮世離れしたエリート”と同じ部類だ。現実感は乏しいのに「こういう人って実在してそう」と思わせる説得力は、ディーンならではの「役者力」と言い換えてもいいだろう。
今作の放送が始まる前の3月29日に放送された「王様のブランチ」(TBS系)の30周年を記念した8時間特番に出演したディーンは、苦手な家事を聞かれると「布団カバーの取り換えですかねぇ。カバーの角と布団の角がなかなか合わない」と苦笑していたが、ドラマの中で家事をこなす「たっちゃん」を見ながら、素顔のディーンは「たっちゃん」以上に「良きパパ」なんだろうなと思わずにいられない。
(津島修子)