【べらぼう】【舟を編む】【ちはやふる‐めぐり‐】【ジャンボ宝くじ】矢本悠馬の妻は広瀬すずの元マネージャー
3年ほど前までは、矢本悠馬と名前を出しても「それ誰?」と失礼なことを言う人がいた。そういう時には矢本が出演しているドラマや映画のことを話し、その作品での役名を挙げていたものだが、今年になってからはNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺~」で佐野政言を演じている人だと説明すると、ほぼ全員が「ああ、あの演技のうまい人ね」と返してくれていた。しかし7月27日放送の第28話「佐野世直大明神」で矢本演じる政言は田沼意知(宮沢氷魚)を殺めて切腹。退場してしまった。
それでもこの夏の矢本は、他にも出演作品がある。「舟を編む」(NHK)では「あけぼの製紙」の宮本慎一郎として、主人公の岸辺みどり(池田エライザ)と何だかいい感じになっているし、「ちはやふる‐めぐり‐」(日本テレビ系)では“肉まんくん”こと西田優征として茶髪姿で第3話に登場。また、2020年からは「ジャンボ宝くじシリーズ」のCMに妻夫木聡や成田凌らとともに出演している。
矢本の演技力の素晴らしさはすでに多くの人々が知っていることだと思うが、19年に授かり婚したお相手が、広瀬すずの元マネージャーであることを知っている人は、あまりいないのではないだろうか。矢本は16年、18年に公開された映画「ちはやふる」シリーズ3作品で主演を務めた広瀬のマネージャーとして、妻と知り合い、矢本からのアプローチで交際が始まり結婚となった。
24年7月3日放送の「ボクらの時代」(フジテレビ系)に親友の間宮祥太朗と千葉雄大と出演した時には、千葉から「もし子どもが俳優をやりたいといったらどうする?」と聞かれると、矢本は「全力で止めたい」と即答。その理由として「先輩には50~60代で売れたという人もいれば、8歳で売れましたというヤツもいる。しかもその中で波がある」と芸能界の厳しさを挙げ、さらに「(演技の)技術がなくてもめっちゃいい俳優さんだなと思う人いるし、技術あるのになんか魅力的じゃないなっていう人もいたりするから、そんな訳のわかない仕事に就くな!マジで運やぞ」と持論を展開したのだ。子どもに「辛い思いをさせたくない」と呟くように言った時の矢本は、紛れもなく「父親の顔」をしていて胸を射抜かれた。演技だけでなく、矢本の心根にも胸が震えてしまい、いつかこの話を書きたいと思っていた。
「べらぼう」の脚本家である森下佳子氏も、おそらく矢本のことを好きだと思う。17年放送のNHK大河ドラマ「女城主 直虎」でも、矢本演じる之の字”こと中野直之に目頭を熱くさせてもらったからだ。
どうか政言が空の上ですべてから解放されていますように。
(森山いま)
