【僕星】磯村勇斗演じる“健治”と【僕キセ】高橋一生が演じた“一輝”の相似点と問題点
放送中の磯村勇斗主演「僕達はその星の校則を知らない」(フジテレビ系)は良作だと思うのだが、どうやら視聴率で大苦戦しているようだ。
磯村演じる主人公の白鳥健治は、対人コミュニケーションが苦手で学校が嫌いな弁護士だ。ところが「学校弁護士=スクールロイヤー」として、共学化で揺れる「濱ソラリス高等学校」に派遣されることになり、生徒や先生と触れ合い、奮闘することで成長していく、心温まる学園ドラマになっている。個人的には楽しみに視聴している1作だ。
これは仮説だが、コミュニケーションが苦手なキャラクターを主人公に据えると、共感性が乏しくなることから視聴率が伸びにくいのかもしれない。
2018年10月期に放送された高橋一生主演「僕らは奇跡でできている」(フジ系)もそうだった。
高橋演じる主人公の相河一輝は動物行動学を教える大学の専任講師で、興味のあることに没頭しすぎて時間を忘れてしまうため遅刻が多く、子ども時代は周囲になじめず苦悩していたこともあったキャラクターだ。歯科医として出会った育美(榮倉奈々)の影響から、興味のなかったことにも目を向けるようになり、最終回のラストシーンでは宇宙飛行士になるという世界の広がりを見せてくれた。
「僕達はその星の校則を知らない」は、タイトルに「星」が入っているし、ドラマの中で健治(磯村)は、第4話で天文部の部活指導員になることを自分の意思で決めていたから、“宇宙つながり”で「僕キセ」が頭に浮かんでくることが多く、残念な現状の突破を考えずにいられなくなる。
小さな世界しか見えていなかった主人公が、少しずつ周囲とコミュニケーションをとっていくにつれ、見える世界が広がっていき、ドラマを視聴している自分の目の前の世界も広がっていくようで「気持ちのいいドラマですよ」と、この夏は「僕星」を推してみたい。
(森山いま)
