俳優の山田孝之がカンヌ国際映画祭で賞を獲るべく、芦田愛菜主演、山下敦弘監督で映画プロデュースをする過程を追ったドキュメンタリードラマ「山田孝之のカンヌ映画祭」(テレビ東京系)の第6話が2月10日放送された。
今回は、同映画祭でグランプリをはじめとする数々の賞を受賞し、審査員にも選出されている“カンヌに最も近い日本人”のひとり・河瀬直美監督が登場。だが、山田は河瀬監督という圧倒的な存在を前に、自身の浅はかな映画製作をことごとく打ちのめされることになる。
「まず、山田の企画する映画『穢(けがれ)の森』のタイトルが、河瀬監督がカンヌでグランプリを受賞した『殯(もがり)の森』のパクリであることを指摘。『“森”ってつけたら賞が取れると思ってるのか』と厳しく問い詰められるんです。さらに芦田に『親殺す役とか大丈夫?』『ギャーって叫んだら親殺しを表現できるってわけじゃない』と問いかけることにより、山田や山下監督ら大人へ鋭い牽制球を投げかけます」(エンタメ誌ライター)
そして「自分はカンヌを知らなかった。自分がつくりたいって思ったものをつくった先に、賞がついてきた」と“賞獲り用の作品作り”への疑問を投げかけるのだ。
実にすべてがまっとうな意見であり、実際にカンヌで賞を獲った河瀬監督の言葉だからこそ重くのしかかる。これまで自信に満ち溢れていた態度は一変し、その一言、一言に山田は耳を真っ赤にして、汗まで拭う。
「そして『才能があるから“俳優”としてだったらカンヌを狙える』と河瀬監督に言われたときの動揺する山田の反応は、台本ではなく“素”の姿のように見えました。一見、物事に動じないクールな印象の山田ですが、その素顔は意外や実直。このドキュメンタリードラマは、そんな山田の人柄を知ることができる貴重な作品でもあります」(前出・エンタメ誌ライター)
河瀬監督が山田に「俳優として私とやればカンヌ獲れる。やる?」と問いかけたところで終わった第6話。SNSでもじわじわと話題になり始めた本作は、河瀬監督の登場で大きく舵を切り始めた。
(稲垣まゆう)