【徹子の部屋】藤井風と黒柳徹子、2つの魂が共鳴し合う瞬間を見ることができた「まさに神回」
「私はこの方に興味津々です」
9月8日放送の「徹子の部屋」(テレビ朝日系)にゲスト出演した藤井風は、黒柳徹子からこのような言葉をかけられ扉の向こう側から登場した。
シルバーと黒というシックな色合いながら、長い耳を垂らしている犬のような帽子、眉間にもう1つグラスが入っている3つ目デザインのサングラス、ゲームやマンガに出てくるキャラが着ているような横に大きく張り出した襟の黒いブルゾンとパンツのセットアップ、インナーはシンプルなモックネックの黒いトップスにジャラついたシルバーのネックレスといった衣装を身にまとった藤井は、「徹子の部屋」の扉から出てくるタイミングが、予定より少し早かったようだ。
そのことに気付いた藤井は、はにかんだような表情を一瞬見せてから、黒柳の隣に用意されている椅子まで茶目っ気たっぷりに歩いたのだが、このわずか数十秒の間、黒柳は「すごい、すごい、すごい!」と連呼。目をキラキラさせながら藤井をみつめる黒柳は、かつてディーン・フジオカ、町田啓太、塩野瑛久、ヒロシらが登場した時とはちょっと違う、不思議なハイテンションを示していたのだが、その理由に思い至るのはこの後のことで、この時は「徹子さんめっちゃ浮かれてるな」と驚いていた。
椅子に深く座った藤井は「いつも素敵なお召し物をされているのでね、僕も一張羅をおろしてこなければと思いまして」と、奇抜に見える衣装を「一張羅」と言って黒柳に敬意を表した。犬のような帽子とサングラスを外して、と「指示が出ました」と言いながら素顔を見せた藤井は、黒柳から年齢を質問されると「今、28なんですけど、ちょっと今年は誕生日を延期しまして、まだちょっと27ということで」と妙な返事をしたのだが、黒柳は「まだ27、いいでしょう」と気にも留めない様子で普通に会話を続けた。
ここでやっと、黒柳が藤井を見てハイテンションになった理由が、もしや黒柳がこれまでに感じてきた「欠けている自分」や「孤独」を、藤井なら理解してくれると直感したのではないかという仮説が閃いた。それほど、この時の2人には「わかり合っている空気感」が漂い、貴重な瞬間を目撃した感覚に襲われたのだ。
番組の終盤では、黒柳が「今度、ご飯食べに行く?そいじゃ」と誘うと、藤井は「行きたい」と即答。2人が指切りのジェスチャーを交わす様子は子どものようで、言葉なんていらない感じが微笑ましかった。
エンディングで2人は「もう終わっちゃう」と口々に言い、藤井が「初めて会ったような気がしない」と言えば、「そうですよね。私も初めて会ったような気がしないです」と黒柳も同意。「ホントですか?」「ホント」「嘘だぁ…」「またね」と言葉を交わす2人を見ながら、藤井が「徹子の部屋」に再登場するのは意外と早いのではないかと思わずにはいられなかった。
この日の放送は、2人というより2つの魂が共鳴し合う様子を目の当たりにしたような「神回」だったと思う。藤井と黒柳がかもし出す唯一無二の空気感をまた味わいたい。2人が一緒にいるところをまた見たい人は、他にも大勢いるのではないだろうか。
(森山いま)
