抑えたはずがぶり返す…夏の「においケア」今年こそ知りたい「向き合い方」最前線を美容系医師が徹底解説!
9月なのに殺人レベルな猛暑が続き、ここに来て少し和らいだかと思えば、10月も近いのにまた夏日…。気温の高さに比例して、人々の心をじわりと締めつけるのは“におい”への不安だ。
「どれだけ清潔にしていても、『私、におってない?』と感じる人は少なくありません。ワキガ体質か否かに関係なく、これは誰もが抱える“夏の共通悩み”です」と美容クリニックの医師は指摘する。
しかも今年は何度も暑さが襲ってくるため、「一度抑えたはずの匂いが、またぶり返す」との声も後を絶たない。朝シャワーを浴びても、午後には不安が戻ってくるのだ。同医師が挙げるのは大きく3つ。まずは脇。汗腺が集中しやすく、古くから“においの代表格”とされてきた。次に、頭皮や髪。夏の強い紫外線や汗で皮脂が酸化し、独特の匂いを放つ。最後は足。蒸れた靴の中で雑菌が繁殖しやすく、本人よりも周囲が先に気づくケースも少なくない。
■アポクリン汗とエクリン汗の違い
前出の医師に以下、続けてもらおう。
「人間の汗腺には“エクリン汗腺”と“アポクリン汗腺”があります。エクリン汗はほとんど水分で、においはほとんどありません。一方のアポクリン汗は脇やデリケートゾーンなど限られた部分に多く、たんぱく質や脂質を含むため、常在菌と混ざることで強いにおいを発生させます。ワキガの原因になるのがこのアポクリン汗です」
かつてワキガ手術は盛んに行われたが、今は主流ではなくなっている。
「効果が持続しにくいことやダウンタイムの問題から、“決定打ではない”とされるようになりました」
■部位別ケアの最前線
「頭皮の匂いは、シャンプー前のプレシャンプーや炭酸クレンジングで解消可能。足の匂いは足用石鹸で十分です。そして女性にとって大きな課題は陰部の匂い。ここには専用ケアが欠かせません」
最近では“フェムケア”という言葉が一般化し、専用ソープが人気を集めている。
「ボディソープでもいいだろうと思われがちですが、専用ソープを使うと違いがはっきりわかります。菌のバランスを保つことで、においの抑制につながるのです」と医師は言う。
■匂いは“恋のスパイス”にも?
さらにこんな意外な説を披露してくれた。
「デオドラント製品で抑えられるのは一瞬。本当に大事なのは、体の内側から匂いを改善していくこと。そのためには“食事”が欠かせません。肉や脂質中心の食生活は体臭を強めやすい一方、野菜や果物を多くとれば匂いは軽減される。とはいえ、アポクリン汗には、異性を惹きつけるフェロモンに似た働きがあるといわれています。つまり、匂いを完全に消すより、ほんのり残しておいたほうがモテにつながる可能性もある。恋人がその匂いにハマる、なんてこともあるんですよ(笑)」
猛暑の中で誰もが抱く“におい不安”。 けれど見方を変えれば、それは“人間らしさの証”であり、“恋のスパイス”にもなり得るのかもしれない。
