【シナントロープ】水上恒司、坂東龍太、山田杏奈らが教えてくれる、役者にとって最強の武器である「華」とは何か
現在放送中の連ドラの中で、最も「次週が待ちきれない」と感じているのが水上恒司主演の「シナントロープ」(テレビ東京系)だ。
東京・杉並区泉ヶ丘(架空の地名)にある個人経営の「シナントロープ」というハンバーガーショップで強盗未遂事件が起きた。それと同時に店の金をレジから盗んだ客と、強盗じゃないのに「目出し帽」をかぶった客が店内にいたことをきっかけに、そこでバイトしていた8人の人生がどんどん変化していく、何と何が関係していて、何が本当で何が嘘なのか、連鎖に次ぐ連鎖が見逃せない展開にすっかりトリコになっている。
ちなみに「シナントロープ」とは、人間の生活環境の近くに生息する、人間が作り出した人工物や生活物資を「利用して生きること」を覚えた野生生物のことだ。水上演じる主人公の冴えない大学3年生・都成剣之介、その都成が密かに恋している「鳥」に詳しい大学3年生・水町ことみ(山田杏奈)、中卒のフリーター・木場幹太(坂東龍太)、英語が得意なお嬢様外語大3年生・里見奈々(影山優佳)、マンガ家志望の大学4年生・田丸哲也(望月歩)、青髪が印象的な美容専門学校生でリストカットの痕がいくつもある室田環那(鳴海唯)、必要最低限の言動しかしない謎の多い新人バイト・志沢匠(萩原譲)、赤いモヒカンのドラマーで恋人がいるのに室田(鳴海)を口説き落として“肉体友達”にした塚田竜馬(高橋侃)の8人は全員「シナントロープ」でバイトしている。
このドラマはドラマとしておもしろいのはもちろんのこと、同年代の若い役者が「しのぎを削っている」ことが伝わってくるため、1度でも目にしてしまったが最後、どうしても気になってまた見たくなるというか、心が渇くのだ。渇くから潤したくて、「シナントロープ」を視聴するしかなくなる。
特に興味深いのは、誰もが1度は耳にしたことがある「華がある」という、言葉で説明しにくいオーラのような、役者が持っていたら最強の武器になる能力が、このドラマでは「見える時“も”ある」のだ。
特に「華」が「巧みな演技」を丸呑みする瞬間が「見える時」は圧巻なので、ぜひともその瞬間を目に焼き付けてほしい。
ちなみに、犯罪仲介業というか、裏の代行業者「バーミン」のリーダーと思しき折田浩平(染谷将太)に心酔している睦美を演じる森田想にも注目してほしい。森田こそ「シナントロープ」でバイトする学生の1人が似合いそうなのに、昨年放送された安達祐実主演「3000万」(NHK)で演じた「3000万円を持ってバイクで逃走していたソラ」があまりにハマリ役だったせいか、またしても「そっち側」を演じているが、かなりいい「華」をお持ちだ。
ちなみに「バーミン」とは、害獣や害虫の意味がある。
野生生物の一種である「若い役者」を堪能してみてほしい。
(森山いま)
