治療現場の最前線……急性期治療薬による「脳梗塞」への効果とは?
さまざまな生活習慣病がある中、生死に関わる怖い病気の一つとして「脳梗塞」の不安を抱えている人も多いのでは? 脳梗塞になって救急車で運ばれたというニュースを聞くこともありますが、いったいどのように対策すればよいのでしょうか。
脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり細くなったりすることで血流が途絶え、脳の神経細胞が壊死してしまう疾患です。日本生活習慣予防協会の統計によれば、脳血管疾患で治療を受けている総患者数は174万2千人で、うち脳梗塞は119万9千人といわれています。
また、厚生労働省の統計によれば、2023年の脳血管疾患による年間死亡者数は10万4,518人に上り、死因順位では第4位という状況です。
ネット上の掲示板などでは、脳梗塞の体験談がいくつか見られます。「家族が脳梗塞になって後遺症が残った」「家族が脳梗塞を経験したことで『脳梗塞は発症からが時間勝負』『すぐに点滴をすれば後遺症が残りにくい』などの教訓を得た」という人もいました。実際のところは、ネットなどの情報をうのみにせず医療機関に問い合わせるなどして対応するのがよさそうです。
脳梗塞治療の分野で躍進的な取り組みが進んでいるようです。最近では、治療薬に新たな光が差し込みました。それが、創薬ベンチャーのティムスが手がける「TMS-007」という脳梗塞の急性期治療薬です。
同社によれば、発症後4.5時間以内であれば既存の治療薬の投薬で回復の可能性が高まることから、早期発見、早期投薬が重要になるのだとか。一方で、既存治療薬は投薬可能時間が限られていることや、血栓溶解作用が強く副作用のリスクを伴うため、実施する施設や医師、患者に厳しい適応基準が設けられていて投薬の実施は限定的となっているとのこと。
そこで、急性期脳梗塞の治療薬候補として「TMS-007(JX10)」を開発し、現在臨床試験を行っているそうです。臨床試験では、発症後の投与可能時間を約3倍の12時間と大幅に伸ばせる可能性を示す結果が得られたようです。次世代の脳梗塞治療薬候補として、多くの患者さんを救うことができるように開発を進めているそうですよ。
脳梗塞の不安が大きい中、今後、治療環境がよくなる可能性があるというのは希望が湧いてきますね。新薬開発が早期に進むよう祈るばかりです。
