ロシア選手の台頭著しいフィギュアスケート女子。日本のエース、宮原知子選手の活躍を持ってしても、なかなか太刀打ちできていないのが現状だ。ここに至る大きな要因はソチ五輪にあったという。
「2000年代前半にはイリーナ・スルツカヤ選手などが出たものの、実は“冬の時代”も長くありました。ロシアがスケートに力を入れ始めたのは、やはりソチ五輪を視野に入れてからと言えるでしょう。国立のスポーツ施設で一流のコーチ陣やバレエ講師を配したプログラムなど充実した体制を組み、各地から有望な選手を集めて養成しています」(スポーツライター)
そして、もう1つの要因が「ハングリー精神」というキーワードだ。
「ロシアの選手は逆境の中で育っている子達が多いんです。ソチ五輪団体金メダルのユリア・リプニツカヤ選手は未婚のティーンエイジャーの母に育てられました。現在女王と称されるエフゲニア・メドベージェワ選手も両親が離婚。8歳で最初のクラブを追い出され、今のコーチに拾われたという逆境を経験。ソチ五輪女子シングルの金メダリストであるアデリナ・ソトニコワ選手には難病の妹がいて、彼女が治療費や手術代を稼いでいると言われます。一方、日本の選手は練習環境が整っておらずスケートを続けるためには高い費用が必要です。宮原選手の場合は両親が医者、宇野昌磨選手や本田真凜選手は親が実業家というように、恵まれた家庭で育ったという経歴です。そのあたりのハングリー精神が、要所で差となって表れるのかもしれません。羽生結弦選手も、もともと優秀な選手ではありましたが、東日本大震災で被災してから意識がガラリと変わりました。難病と闘う三原舞依選手も今季大活躍しています。やはり逆境を経験した強さは選手を確実に強くするのでしょう」(女性誌記者)
逆境になくても、厳しい練習で日本選手の精神面が磨かれているのもまた事実。世界選手権では、その鍛えた精神力で最高の演技を見せてほしい。
(芝公子)