フィギュアスケートの五輪出場枠は、前季の世界選手権で決まる。今回の「フィギュアスケート世界選手権2017」で、そんな事実を初めて知った人も少なくないだろう。しかし、昔からのフィギュアファンは、大会前にワイドショーなどで騒がれていることについて、シニアデビューの若手選手にプレッシャーをかけることになると憤る人たちも少なくない。
「06年のトリノ五輪の時にも男子で似たような状況があったんです。前年の世界選手権は、現在解説やコーチなどで活躍している本田武史と高橋大輔が出場したのですが、公式練習の際に本田が左足首をねん挫。翌日の予選ではリンクで転倒し、そのままタンカで運ばれ途中棄権という事態になったんです。そのため、世界選手権2度目の高橋に10位以内に入り2枠を獲得するという大きなプレッシャーがかかったんです。SPは7位と頑張ったのですが、FSでは冒頭の4回転をはじめジャンプをことごとく失敗し、初参戦の前年11位より悪い15位になってしまったんです。2度目の出場の高橋でもそれくらい大きなプレッシャーになるのですから、今回の女子のように、さらに若いシニアデビューの選手たちの負担は想像以上に大きかったに違いありません」(スポーツライター)
そんなシーンを乗り越えて、高橋は強くなったのだ。今回プレッシャーに耐えた三原舞依も樋口新葉も本郷理華の3選手も、さらなる強さを身につけるいい機会だったと言えるのかもしれない。
(芝公子)