現在、世界中で大ヒットを記録しているエマ・ワトソン主演の映画「美女と野獣」は、アニメーション映画史上、初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされたディズニーの長編アニメーションを実写化した作品。89年の「リトル・マーメイド」のヒット以降、ディズニーはアニメーション・スタジオとして新たな黄金期を築いたが、その黄金期の作品が今回の「美女と野獣」を皮切りに続々と実写化される予定だという。
例えばミュージカルでも有名な「ライオン・キング」(94年)は、主人公の少年以外をすべてCGで描いた「ジャングル・ブック」が16年に公開されたが、同じジョン・ファブロー監督による実写映画化が進められている。他にも「アラジン」(92年)はガイ・リッチー監督、「ムーラン」(98年)がニュージーランドのニキ・カーロ監督の手によって実写映画になる予定。さらにアンデルセンの童話「人魚姫」も数社による実写映画プロジェクトが進行中で、もちろんディズニーでも「リトル・マーメイド」を実写化する予定がある。
「これまでにもディズニーは、『101匹わんちゃん』(61年)を実写化し、大女優グレン・クローズが悪役クルエラを演じて話題になった『101』(96年)などを成功させてきました。近年は『眠れる森の美女』(59年他)の悪の妖精をヒロインにした、アンジェリーナ・ジョリー主演の『マレフィセント』(14年)や『シンデレラ』(15年)など、クラシック・アニメーション作品の実写映画が立て続けに公開されていて、今後その流れは数年にわたり続くでしょう。ただ、ディズニーの創設者ウォルト・ディズニーが常に誰も見たことのない作品を作ろうとした人物であることを考えると、大ヒットしたアニメという“保険”がある実写映画の定番化に、彼の理念から離れて守りの姿勢に入ったのではないかと懸念を抱く関係者もいるようです」(映画ライター)
アニメーションの表現・技術に次々と革新をもたらし、延べ32個ものオスカー像を手にしたウォルト・ディズニー。企画として目新しさがない今のディズニーに歯がゆさを覚える人も多いのかもしれない。