9月20日から23日にかけて開催されたフィギュアスケートの「オータムクラシック2017」。今シーズン初戦となった羽生結弦選手は、今季のSP曲「バラード第1番」で世界歴代最高得点を更新した。膝の痛みを考慮して高得点の4回転ループを封印したにもかかわらず、冒頭の4回転サルコウおよび後半のトリプルアクセルをはじめ、満点に近い評価を得ての快挙だった。
「内容構成的に最大の得点構成ではなかったのに世界歴代最高得点を更新できたのは大きな収穫でしょう。この内容でさらに難易度の高い4回転ループを組み込んでいけば、確実に得点が伸びることが実証されたわけですからね」(スポーツライター)
しかし、翌日のFSでは予定の4回転ジャンプ8本中5本をことごとく失敗するという珍しいミスの連発で、FS4位という結果に。
「総合で2位は、羽生選手にとってよくない結果のように見えるかもしれませんが、これはまだGPシリーズではありません。格下のチャレンジャーシリーズの試合で、いわば“足ならし”。今季の演技の状況確認のために出る試合ですから、結果に大きな意味はないとも言えます。
これまで羽生選手がSPとFSの両方の演技を高得点で揃えられない場合はSPが悪いことのほうが多かったんですが、今回は逆に、SPが最高の出来で、FSで本領が発揮できなかったという珍しいパターン。その意味でも、平昌五輪に向けた課題が本番のGPシリーズ前に見つかったのはよかったと思いますよ」(前出・スポーツライター)
例年ならシーズン2戦目のGPシリーズ・カナダ大会で優勝できないことが多かった羽生選手。五輪シーズンは、例年より1カ月ピークを前倒しにしなければいけないのだから、課題が前倒しで見つかったのは、五輪金メダルに向けて吉兆と言えるかもしれない。
(芝公子)