今月初旬の3連休、11月3日に満を持して公開された、嵐・二宮和也主演の映画「ラストレシピ~麒麟の舌を持つ男~」に、おもわぬ黄信号が灯ってしまった。
主演の二宮をはじめ、共演に西島秀俊、綾野剛、宮崎あおい、竹野内豊ら人気俳優をズラリと並べ、「おくりびと」の滝田洋二郎監督、「永遠の0」の林民夫脚本という万全な態勢を敷いた大作。配給する東宝の大々的な劇場宣伝からも、公開前から大ヒットは確実、さらに来年の日本アカデミー賞も射程内と評判だった。
ところが、そんな“究極の邦画”の前に、アメリカ発の“ピエロ”が立ちふさがったことで関係者から悲鳴が上がっているという。
「『ラストレシピ』はキャスティングの豪華さに加え、泣ける感動大作としての仕上がりに関係者も自信を持っていた。それだけに嵐ファンの女性から歴史好きの年配まで老若男女を取り込み、悪くても興収20億円以上、場合によってはその倍以上も目論んでいたと聞きます。しかし、同日公開されたスティーブン・キング原作のR‐15指定ホラー映画『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』が口コミで評判を呼ぶと、観客動員数は公開初日の11月3日こそ舞台挨拶のライブビューイング効果で『ラスト~』が上回ったものの、その後11月15日までの12日間で、『ラスト~』は100館近くも公開館の少ない『IT』に1勝11敗。とくに、学生や若いOLらがシネコンに向かう夕方以降では『IT』の圧勝が続いています。このままでいくと、『ラスト~』の興行収入は15年に二宮が主演した『母と暮せば』の半分程度になるかもしれません」(エンタメ誌ライター)
確かに「ラストレシピ」は、ぴあ映画初日満足度調査で1位を獲得するなど、観賞した人からの評価は高い。ただし、このコケ状況のままアカデミー賞受賞となれば映画ファンの失笑を買いかねない。鳴り物入りの邦画大作の巻き返しに期待したい。
(塚田ちひろ)