フィギュアスケートのNHK杯公式練習で右足関節外側靱帯損傷のケガを負い、現在は全日本選手権に向けて調整を続けている羽生結弦選手。1日も早い復帰を望む声が多いが、その一方、関係者の間では万全な状態まで無理をさせるべきではないという慎重論もあがっている。
「今の世界の男子スケート界で、羽生選手の五輪出場に異論を挟む人間はいません。つまり、五輪代表になるために全日本に出なければいけない理由はないというわけです。右足はジャンプを踏み切るうえで負担がかかる大事な足ですから、全日本に出場したことで、せっかくよくなった右足がまた悪化しては困る。五輪を第一に備えてほしいと考えているのです」(スポーツライター)
11月16日にはオーサーコーチが羽生選手の復帰についてコメントし、全日本出場が「現時点でのプラン」であると明かしている。
「羽生選手としては何があっても出たいでしょう。連覇より、楽しみにしていたファンのためにも演技をしたいでしょうし、特別待遇で五輪に出ることをよしとしない性格です。全日本で優勝し、全日本王者であることを見せつけたうえで五輪代表に選ばれたいと思っているのではないでしょうか。しかし、オーサーコーチのコメントは微妙です。全日本出場を目指すとは言いつつも『平昌五輪で勝つことが最も重要。まだ時間はある』というフレーズがついていますから、まだケガの状況を見極めて判断する余地がありそうです」(前出・スポーツライター)
選手のメンタルケアからピークの持って行き方まで、「オーサイズム」とでもいうべき独自の理論で五輪に臨むオーサーコーチ。今の羽生選手にとって、最善の形で平昌五輪を迎えられる方針を取ることは間違いない。“早い回復”より“確実な回復”で、輝かしい復帰を飾ってほしい。
(芝公子)